セッセエリボー

チリの闘いのセッセエリボーのレビュー・感想・評価

チリの闘い(1978年製作の映画)
4.5
取り返しのつかないスピードできな臭くなっていく時代の空気をあまりにも克明に捉えたこれぞドキュメンタリー。面白いかどうか以前に資料的価値だけで必見な作品。あらすじに並んでいるゴリゴリの熟語群が実にふさわしい、文字通り命がけで撮られた映画。これほどの国民の意識の高さと危機感がありながらこうなっちゃうんじゃ日本も明日クーデタ起きてもおかしくないな。しかし世界各国こんなリスク冒してまで何で軍なんて持ちたがるの・・・国家からしたら脅威でしかないじゃん。そんでUSAはマジで最低、ラテンアメリカを踏み躙り夥しい命を奪ったのは他ならぬUSAだということを痛感する。デモやストライキといった手段が反動勢力にとっても有効であるという恐ろしい事実にも気づかされる。
撃ち殺されたアルゼンチンのジャーナリストが最期に残した「Shot」、走ってる車に直撃という今じゃ考えられないインタビュースタイル、ピノチェトのおぞましい初心演説、『光のノスタルジア』にそのまま継がれる砂漠の風景。