Ryu

ルームのRyuのレビュー・感想・評価

ルーム(2015年製作の映画)
3.9
5歳になった少年 ジャックはママのジョイと共に“部屋”で暮らしていた。ジョイはオールド・ニックと呼ばれる男に誘拐されて、7年間もの間監禁されていた。ジョイはジャックに初めて外の世界のことを話し、混乱するジャックを説き伏せて、部屋からの脱出を図る。

オーストラリアでとある女性が、父親に暴力を受けながら、24年間に渡って、家の地下室に閉じ込められていた というフリッツル事件を基にした作品。
第88回アカデミー賞において、作品賞、監督賞、脚色賞にノミネートされ、ブリー・ラーソンが主演女優賞を獲得しました。
前半の監禁されている状態、ただでさえ尋常ではないストレスがある中、子供を頑張って育てている母親の姿がホントに痛々しくて、可哀想という思いと共に尊敬の念を抱きました。
部屋での生活は地獄なのは間違いないのですが、それが世界だと思ってきたジャックからすると、外の世界はホントに戸惑いだらけでしょうね。医師が言っていたように、柔軟な内に出られたってのがホントにその通りだなぁと思います。少しずつ世界に慣れていくジャックとは違い、ジョイは外の世界、両親との関係、メディア、などに苦悩していきます。7年間もの時を奪われたジョイにとって、そう簡単に再スタートは切れません。これがホントに見ていて辛い。
ラストの微かな希望が見える終わらせ方もスゴく良かった。めでたしめでたしってラストではないし、これからもどうなっていくかわからないけど、この親子なら大丈夫だろう という安心感が少しありました。
失われた時間は元には戻らない。初めての外の世界は戸惑いばかり。帰ってきた世界は決して最高とは言えない。そんな苦しみや辛さに溢れているけど、それでも懸命に生きようとする親子の姿に感動を覚えました。
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