Jeffrey

彼らはフェリーに間に合ったのJeffreyのレビュー・感想・評価

4.0
「彼らはフェリーに間に合った」
この映画も一応交通安全を訴える作品となっているが、ナレーターによるナレーションが幾分ないため非常に見やすい映画である。彼の持っている短編映画の中では秀作の1本だろう。この作品の原作者は1944年にノーベル文学賞受賞した20世紀デンマークを代表する作家の1人とされているイェンセンとの事で、ドライヤー自身がこの作品を文化映画として制作したら面白いんじゃないかと思って創作したらしい。この作品は劇性が高い映画と感じるが、正直ドキュメンタリーな雰囲気もある。筏の中に白い十字架をまとった棺が2台置いてある浜辺のシークエンスは印象的に残る。この映画はタイトル通りフェリーに間に合うようにバイクをにけつする男女の姿を延々と映している。途中でガソリンを補給したり、バイク等人物描写等背景のカットバックが非常に巧みで驚く。またカメラも忙しく、被写体のクローズアップやクロスカッティング及び四方八方からのカメラワークで緊迫感を増す演出がすごい。また一瞬だが、車の中に乗っている男性が死神のように頬が痩せこけていて、不気味だった。そのサプライズ的な演出も個人的には気にいっている。そしてそれを暗示させるかのような質疑の終わり方、その前に起こったとある事件が全てを物語っている。これは短編ながらドライヤー作品の中でも傑作だと感じる。
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