もめん豆腐

レディ・バードのもめん豆腐のレビュー・感想・評価

レディ・バード(2017年製作の映画)
3.6
レディバードのパパ、大好きだわ。始まって11分「キース・リチャーズと同じさ。“どこでもハッピー”」だって♡脳内Rolling StonesでKieth Richardsのソロ“Happy”が、あのしゃがれ声で流れるるるるる!Rolling Stonesの何がいいかって、若くないと恥ずかしくて歌えないような若さの勢いで書いた歌詞を御年70代後半でもノリノリで歌ってしまうところ。このパパもKiethくらい弾けて「常識?知らねーな」って楽しく生きて欲しい。この映画に出てくる穏やかそうな中年男性はみんな元気がない。神父様もナイスガイなのに、過去の傷が癒えていない。子供の頃は大人になると強くなって傷つかなくなると思っていたのに、それは大きな間違いだった。人はいくつになっても傷つくし、おまけに人生長くなってくると経験数も増えて、過去の出来事に囚われることもある。うまく昇華してくれればいいのだけど、そうもいかない人(こと)だってあるのだと思い知らされる。年齢を重ねると若さの痛みとは全く違う類の痛みと共存しなくてはならなくなるのよ。それも長い時間ね。
ところでアメリカの住宅事情がよくわからないのだけど、彼女の家はスラムなの?どう見てもそうは見えないんだけど。スラムといえば8Mileに出てくるあんな感じのところだと思ってた。学校だってカトリックの割には自由じゃない?これが厳しいならあてくしの出身高校だったらレディバードは即死よ。高校時代、こんなクソ高校燃えろ!ってしょっちゅう願ってた♪~(´ε` )
この映画は8割型ヒエラルキーに囚われてるレディバードが、今の自分よりもっと違う自分になることにもがき足掻く物語。うん、まあ、わからんこともない。あてくしもどうしても神奈川県が嫌だった。そして今都内で暮らして本当に安心してる。他人から見たらさほどの距離でもないかもしれないけど、全然違うのよ、地の果てほど違う。だからレディバードが東海岸に行きたがるのを止めるママの気持ちは正直に言ってわからないし毒親の匂いも感じた。やった後悔よりやらなかった後悔の方が人を狂わせる。だからパパが彼女をいつも応援してくれることで、ささやかながらもこの家庭は機能しているんだと思うの。ガミガミは家にふたりいらないの。
短い映画なのに見どころはたくさんあって、気になったのはジュリー。ジュリーみたいに気が置けない人は“本当に”大切にしたほうがいい。何でも話せて何でも聞ける、そんな存在に出会えること自体が奇跡だからね。ジュリーは最高にチャーミングな友達だと思うよ。10代20代だとまだわからないかもしれないけど、40代以降になると友だちがどんどんいなくなるから大切にしてね。
もめん豆腐

もめん豆腐