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世界の涯てにのpikaのレビュー・感想・評価

世界の涯てに(1936年製作の映画)
4.0
サーク、ドイツ時代。
脚本自体も面白いんだけど、サークのこの演出力がなければ凡庸なメロドラマになってしまっていたかも。
ドイツ人によるオーストラリアを舞台にしたイギリス人のドラマってところも興味深いんだけど、後半ではほとんど出てこなくなる前半のミュージカルシークエンスはどれもこれも素晴らしく、歌詞に意図を含ませつつ音楽だけでも感情を揺さぶる魅力が凄い。

映像的な醍醐味もありながらキャラクターの感情も深く表現していく丁寧な演出は、紙の上のキャラクターを役者が演ずることで命が吹き込まれるってこと以上に生々しく「人物」を浮かび上がらせる。
そんな魔法みたいな演出によって「このキャラクター達がどうなるのか!?」とハラハラドキドキ映画に没入させられるがゆえに、中盤のめっちゃ胸くそ展開に映画の中の出来事なんて距離じゃなくなってイライラ最高潮!なんだよこれはクソ!

全体的にヘビーなストーリーでありながらコミカルなシーンを絶妙なタイミングで入れてきて延々ずっと面白いしガツンガツンと喜怒哀楽を刺激されめちゃくちゃ楽しめる。
胸くそ展開に頭沸騰して匙投げてたら「申し訳ないけどそうなってくれると全てが丸く収まってめんどくさいことはないわね」ってなラストを迎えてくれて最高でした。
さすがサーク!わかってらっしゃる!
そうでなければ脳内暴動モノですよ!
さすが!さすが!の大満足!
ラストまで隅々隙なく見事。アッパレ!サイコー!
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