ゆうゆ

火葬人のゆうゆのレビュー・感想・評価

火葬人(1968年製作の映画)
4.2

1930年代のプラハ。
火葬場で働く家族想いの真面目な男が
次第に残忍なファシスト思想に操られ
常軌を逸していく

囚われた思想に取り憑かれ 自身の仕事に
誇りをもつ主人公の狂気が静かに炸裂していく
終盤の薄気味悪さとおぞましさ。
これまで彼を創り上げてきた人生と時代背景、
そして持って生まれた彼の人間性が
絶妙なケミストリーを引き起こし
闇の時代にさらに彼を飲み込んでゆく

丸くて変な髪型、家族をねっとりと
触るいやらしい手つき、
棺の中の遺体の髪に櫛を通し
そのまま自身の髪もさっと撫でつける、
終始穏やかだけど空虚に喋りたおす
洗脳的な怪演がキモチワルイ。
ナチスに傾倒していく主人公の
死を "死" とは捉えない狂気
そこから導かれる彼の迎える運命に
背筋が震えます

苦手なモノクロで意味不明のチェコ語。
睡魔との戦いだったけど アート視点な
カメラワークと主人公の醸す不気味オーラに
目が離せない


2022-48
ゆうゆ

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