このレビューはネタバレを含みます
円熟のその先の、経験と技術とに裏打ちされた骨太で重厚な映画!
最新技術で時代を自在に行き来するデニーロ。「若い時も動きがおじいちゃんみたい」などと嘲笑する声もあるようですが、いやそれが良いんですよ!それも含めて紛れもなく「今のデニーロ」が「演じている」というそこに抗いがたい魅力が詰まっているわけです。
デニーロだけじゃないです。パチーノもこれまた久々に強烈なキャラを生き生きと演じています。ジョー・ペシも口数少ないながら凄みを感じさせる名演。ハーヴェイ・カイテル、座ってるだけでよし。で監督スコセッシ。
ギラッギラにギラついていた彼らが、アメリカの中心にいた巨悪の興隆と衰退を描く。こんなの5時間でも10時間でも観れますよ!
『グッドフェローズ』とはまた違った、非常にクールで乾いた暴力の連続も痺れました。
命令されるがままに「ペンキを塗り」、家族と自分の幸せを守ってきたと信じた男の哀しき末路。
すべてを手にしたように振る舞いながら、最後には何も残らなかった男の侘しさ。
もうすでに消え去った愛と赦しを求め「ドアを開けておいて」とつぶやく男の姿に涙があふれました。
暴力で真っ赤に染まった人生が行き着く先の荒凉とした景色を示すところは、紛れもなくスコセッシ作品の味わいでした。