千年女優

バービーの千年女優のレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.5
世界中の少女に愛されてきたバービーがボーイフレンドのケンら仲間の人形達と暮らすバービーランド。ある日「死」の概念が浮かんでから体に異変を感じる彼女が、その発端となった持ち主サーシャとその母グロリアを訪ねてやって来た人間社会で厳しい現実に直面し、そのことで両世界に混乱をもたらす様を描くファンタジーコメディです。

マテル社が主力製品の着せ替え人形の映画化を目指して立ち上がっては消えた企画をワーナーで実現させた作品で、『ストーリー・オブ・マイライフ』のグレタ・ガーウィグ監督、マーゴット・ロビー主演での皮肉の効いた作風が評価されるも同時公開のノーラン作品『オッペンハイマー』とのコラボ広告が被爆国の日本から反感を買いました。

「人類の夜明け」パロディに始まり実際のバービーへの批判も取り込むフェミニズム的ユーモアを展開する一方、ケンの立場からの反証でガーウィグや脚本ノア・バームバックのバランス感覚を見せます。終盤は息切れを感じて印象は「アメリカのお友達」に留まりますが、笑い飛ばす前向きさで監督の主題「自分らしさ」を表現する一作です。
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