カトキチ

永い言い訳のカトキチのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
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奇しくも師匠筋である是枝監督の「そして父になる」と題材が被るが、ノンフィクションを映像化し原作者からクレームがきたうえにその題材で金を稼ごうという腐り切った根性を見せる師匠とは違い、似たような話であれ、これはフィクションである!と大手を振り、妬み嫉みも含めそれでもいいじゃない人間だものとやさしく包み込むような眼差しがちゃんとあるのがポイント。

映画で描くべき部分と描かなくても良い部分をしっかりわきまえ(他人の家庭に入った主人公が、家庭に入った途端に主人公の身辺の部分が出てこなくなるとかそういうとこ)、心情を表情と細かな行動で表現したりとあいかわらずのウエルメイドっぷりだが、今回の作品が素晴らしいのはとにかくキャスティングで竹原ピストルの演技が秀逸なのはもちろんだが、やはりここは本木雅弘の仕事っぷりを評価したい(特にシブがき隊を彷彿とさせるカラオケは「太陽を盗んだ男」のジュリーを彷彿とさせる)。

てか、書いてて思ったけど西川美和の作品って、他人を幸せにしていてみんなから尊敬されてるけど、自分は誇れるような人間ではないっていう主人公多いよね。しかもその主人公が最終的にその関係から離れる、もしくは去るって映画が多い!!ディア・ドクターはもちろんのこと、永い言い訳もそうだし、夢売るふたりに至っては立場がそうだとはいえ、何人も去りまくりだ!
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