安堵霊タラコフスキー

早すぎる、遅すぎる、の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

早すぎる、遅すぎる、(1982年製作の映画)
4.5
冒頭のロータリー交差点を周回する車から見える景色で車やバイクが次々と入れ替わっていく様からもわかるように、ストローブ=ユイレがいつも以上に徹底して風景を撮ったドキュメンタリー的作品となっていて、その殆どは緑豊かなものではあるけど映す風景の中で人々が活動する様子とかもしっかりあったり、中盤では工場の出口を長回しにしてオマージュしたようなシーンも挿入され、リュミエールの作品を長尺にして音をつけたような雰囲気の撮り方はまさに映画的と概ね好感を抱いた。

しかしこれは自身の睡眠欲によるところも勿論大きいが、途中からゆっくりとしたパンでエジプトの路を長々と撮るシーンばかりになり若干飽きが来てしまったせいで何回かウトウトして危うく夢の世界に行ってしまうところだったので、もう少し撮り方のバリエーションを増やしてくれた方が有り難かったしもっと映像的に面白いものとなっていたろうに感じた。

とはいえ先述のように全体的な撮影スタンスはストローブ=ユイレらしくて琴線に触れたし、ラストのティルトによる映像のキレも素晴らしかったので、酷い映画を見たという気分には全然ならなかった。