シズヲ

新しい精神のシズヲのレビュー・感想・評価

新しい精神(1942年製作の映画)
3.3
後の『総統の顔』と同じく戦時中に製作されたディズニーのプロパガンダアニメ。本作もドナルド・ダックが主役で、しょっぱなから合せ鏡の前で愉快に踊る姿がユーモラス(鏡に映るドナルドの一人が置いていかれそうになるのがフフってなる)。ラジオの助言によって国家を支援することになる彼だが、納税という実に現実的な手段を勧める辺りに生々しさがある。いそいそと書類に必要事項を記入するドナルドの姿は微妙にシュール。

全体的に『総統の顔』ほどのアクションは無いのでプロパガンダ色がより顕著だけど、文房具がキャラクターとして擬人化されていたりと要所要所でユーモアは押さえられている。ラストは“国民が納税することで国に与えられる恩恵”を軍需産業で端的に描写。次々に製造される銃や戦車などの兵器が活躍し、最後は悪の枢軸国をぶっ倒して見事戦争に勝利する。ここまで来るともはやドナルドすら出てこない。

因みに『43年の精神』という続編もあり、こちらでもドナルド・ダックが納税することで国に貢献。ドナルドを誘惑するヒトラー似の悪役が登場するので、より直接的に枢軸国を殴る内容になっている。ラストは前作と全く共通、納税することで軍需産業が盛んになって枢軸国をぶっ倒す。もちろんドナルド不在。
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