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ビヘイビアのbackpackerのレビュー・感想・評価

ビヘイビア(2014年製作の映画)
4.5
これは素晴らしい。文句なしの映画。
ストーリーも素晴らしいけど、撮影そのものもかなり凄い。
始まりからキューバの世界に引き込まれてしまいました。丁寧な作り込みには感服です。

大人と子ども。
教師と生徒。
理想と現実。
制度と社会。

過酷な環境では、望む通りには生きられない。賢い者でも、現実には抗えない。

純真で、愛に飢え、家族を支えようと懸命な少年、チャラ。それでも、現状を打破する術が無い。闘犬を育てることも、やらなくては生きられないのだ。嫌々やっているわけではないけれど、真っ向から否定され、理想だけの正義感は偽善でしかない。
辛い。それでも、彼らの活力や純粋さは見ていてとても胸に響くものがありました。

物語を始めるにあたり、終わりを最初に見せて、そこから起承転結と進行するというのはよくある手法ですが、それがこの映画には一番合致していると思いました。
遠泳勝負のシーンは『ガタカ』を連想しましたし、 教室のシーンは典型的画面外空間への語りかけでしたし。
画面のスイッチも、カットのタイミングも流れるようにスムーズでした。
特に、鳩を片手に屋根上からビル群の全景を捉えるシーンは圧巻です。チャラを中心にMLの俯瞰ショット。綺麗でした。雑然としたスラムのような汚いビルでも、撮り方で絵画のようなワンシーンへと昇華されるんだなと実感しました。


言いたいことは山ほどあるけど、とにもかくにも是非ご覧いただきたい映画です。
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