糸くず

スキャナー 記憶のカケラをよむ男の糸くずのレビュー・感想・評価

4.1
古沢良太の手堅い脚本と金子修介の無駄のない話の運びがマッチした気軽に楽しめるミステリーでありながら、ところどころでフェティッシュな演出が炸裂しまくっていて、すごくニヤニヤした顔で観ていたと思う。

とにかく木村文乃を美しく撮ることに心血が注がれており、励ましの言葉をかけてくれる木村文乃から、椅子に縛りつけられた木村文乃、鎖で吊られる木村文乃まで、どの場面でもそこはかとないエロさを漂わせていて、「さすが金子修介、女優を魅せる秘訣を心得ているなぁ」と感心しっぱなしであった。特に、胸から流れる血が足下で血だまりを作る場面の脚の艶かしさ! 青白く化粧した彼女の儚げな表情もいい。金子マジックの見事さにもう白旗をあげるしかない。

病弱の少女、白いワンピース、廃墟の洋館、振り上げられたナイフ。これらのワードにピンときた方にはぜひ観てもらいたい。きっと満足できると思う。
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