千年女優

シン・エヴァンゲリオン劇場版の千年女優のレビュー・感想・評価

2.5
自らの決断による行動が「フォースインパクト」を始動させてカヲルを亡くし、マリやアスカの手でレイと共に救い出された後でも強い自責の念にかられる碇シンジ。始まり迫る自らの望みを成就させんとするゲンドウのNERVとミサトらの反NERV組織ヴィレによる最終決戦を前に決断を求められる運命の少年の生き様を描くSFアニメ映画です。

前作『新劇場版:Q』から8年以上の時を経ての公開となった四部作の完結編でこの間には月間少年エースで連載されていたキャラデザを務めた貞本義行による漫画版が完結しました。このTV版と旧劇場版をベースにした通称貞本エヴァは様々な方面で手に余る膨張を招いてしまった作品を丁寧にまとめあげていて完成度では抜きんでいています。

一方でもっと凄い物がという想いは拭えずそれを痛感するからこその新旧の劇場版だと思います。選ばれし者の恍惚と不安がいつか真理に至るという若者にありがちでそのほとんどが何も生まない想いを抱き続けられる点で庵野監督は真の選ばれし者です。恐らくいつの日かまたエヴァは作られるでしょう。彼がその気高き驕りを失わなければ。
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