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シン・エヴァンゲリオン劇場版のsanbonのレビュー・感想・評価

3.7
「汎用ヒト型決戦兵器人造人間エヴァンゲリオン超極限空間対応用特殊装備追加可能型改8号機γ 両腕暫定的補強仕様」

ヤッベ、早速ネタバレブッこいちまった!

※この度は予定を変更して「序」「破」「Q」のレビューのノリを踏襲した回でお送り致します。

いやぁ、一先ず観てきましたが、ちゃんと完結したのかどうかをお伝えするだけでもネタバレの範疇となってしまうような作品(どんだけ信用ないんだよ)ですので、これ以上映画の内容に抵触するような事は避けつつレビューを書いていきたいと思います。

とは言っても「新劇場版」が4部構成というのは当初からの決定事項であり、今作の「シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇」が、その"4部作の最終作である事は確実"だったので、実感としてはようやく終わったんだなという感慨の念が今のところ非常に強いです。

正直、泣けるような感涙の展開とかは個人的には無かったように感じましたが、一つの作品としては長い長い年月をかけて紡がれてきた物語ですから、それに紆余曲折の末一応の決着を付けてくれた事実にまずは感謝です。

この作品を心待ちにしながらも、様々な理由から観る事が叶わなかった方も沢山いる事を考えると、本当に有難い気持ちでいっぱいになります。

その上で、この喪失感がいつかなにかの拍子に涙腺崩壊のトリガーになってしまうんじゃないかという懸念は確かにありますね。

そのくらい、心にぽっかり穴が空いたみたいな感じが凄く切ないです。

だって、新劇のプロジェクトだけでもそこそこ長かったですからねぇ。

2007年の一作目公開から14年…

…14年!?

「ゲンドウ」君、キミの狙いはこれか…流石は「シンジ」君の父であり「リリンの王」だ。by「マリ」&「カヲル」

まさか、ここに来て劇中の時間経過と現実の時間の流れをリンクさせてくるとは。

という事はだよ「庵野秀明」総監督の鬱も「風立ちぬ」での声優デビューも「シン・ゴジラ」の制作も、あの新型コロナウイルス流行による公開延期ですら運命を仕組まれた筋書き。

我々は、掌線の上でただ転がされていたただの虫であり、全てはこの「14年目の節目(フォーティーンインパクト)」を以て人類に対するエヴァという概念に終止符を打つ為の算段だったという事か。

なんと見事な伏線回収なんだ。

…って、違うか!

そして、今作はやたらと庵野さんのパーソナルな部分が反映され過ぎてまして、線路のポスターで話題になった「宇部新川駅」とかも彼の出身地ですし、ゲンドウの独白なんかまんま庵野さん自身の事を語ってるようでしたし、流石にシンジとゲンドウに自分を重ね過ぎてて、そりゃ病むのも仕方ないやろって感じでしたね。

それに加えて、やはり庵野さんの人格形成の根幹には"特撮"があるからか、大好きな「ウルトラマン」特に「ウルトラセブン」をオマージュしたシーンや、唐突にジオラマが…ゔぅんっ

内容に抵触しないと言っておきながら、口が滑りました。

すいません。(黙祷)

…兎にも角にも、初期の頃からエヴァをずっと追いかけてきた方々からすれば、どんな展開が待っていようと、どんな演出が為されようと、全てを受け入れる器量は既に出来上がっているものと思いますので、これから観に行こうという方はまず自分を信じ、それから庵野秀明総監督を信じ、シンジを信じ、Qのように槍でやり直そうとはせずに、万感の想いを胸に劇場へ足を運んできて下さい!

ちなみに、先日僕は新劇3部作を復習したうえで本日の公開に臨んだのですが、今作の内容を観た結果、出来ればそれに加えてTVアニメ最終回と「新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に」も併せて復習する事をオススメします。(マリ関係の補完をするなら漫画版も読んでないと分からないところもあり)

特に、まだ未見だという方は予習も兼ねてこれらの作品を観ておかないと、終盤のある演出に着いて来れない可能性があります。

まあ、とはいえちょっとぼう然とするくらいで、理解不能にはならないとは思うので、本当に気が向いたらでいいと思いますよ。

なにせ、まごころを、君には結構トラウマになる内容なので。

ただし、新劇しか観たことがない状態で、今作の鑑賞に臨まれる方の為にこれだけは言わせてほしいです。

エヴァの成分の半分以上は"カオス"で出来ています。

「バファリン」みたいに、決して優しさなんかでは構成されてませんので、それを念頭に鑑賞して下さいね。(これまでの新劇ではカオス味がまだまだ抑えられてる状態なので。)

最後に、僕個人の率直な感想を述べて、4回に渡ってお送りしてきた怒涛のネタレビューを終わりたいと思います。

「やっぱり、エヴァは、エヴァだった...(笑)」

…って、違うか!(2回目)

これは、シンジ役の「緒方恵美」さんが「Twitter」に投稿した原文ままなんですが、この言葉を借りて今度こそ僕の感想を述べますね。

「完・全・同・意!!」

いやぁ、これは一言一句違わず完全同意ですわ。

緒方さんは、完璧に今作の内容をたったこれだけの短い文章で全て言い表していらっしゃった。

前半は意外とほのぼのしてて、エヴァっぽくない暖かみがあって「なんだかポカポカするの」by「レイ」なんですけど、やっぱり核心に近づくに連れてしっかりエヴァなんですよね。

もうこれは、正しく「エヴァの呪縛」ですね。

この作品が、誰からも共感されてハッピーに終わる筋道なんて普通に全く思いつきませんもん。

そんな中で、庵野さんはよくやりましたよ。

はっきり言って、最後の方とかまた「ヤバい」って正直思っちゃいましたもんね〜。

それでも庵野さんはよくやった。

奥さんの「安野モヨコ」さんも、ちゃんとクレジットされてて安心した。

でも「摩砂雪」さんが監督から降板してた。

なんで?

あと「神木隆之介」君も出てきたのは意外だったなぁ…。
(お漏らし)

最後に、今作で最も良かった点は「範馬刃牙」での壮絶な茶番劇「エア夜食」のようなチープな親子喧嘩の末に、これまでの作品で一度も詳細には描かれなかった"碇ゲンドウの葛藤"を以て物語の結末がしっかりフィックスされた事。

これがあるだけで、この壮大な物語は全て報われたような気がしました。

これは、碇シンジの物語でありながら、碇ゲンドウの物語でもあったのだという事がより明確に感じられて、そこは非常に良かったです。

という事で、改めてこれから観に行こうという方は自分を信じ、庵野秀明総監督を信じ、シンジを信じ(これが言いたいだけ)、緒方さんも信じ、Qのように槍でやり直そうとはせずに、万感の想いを胸に劇場へ足を運んできて下さい!ね!
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