MikiMickle

ヴィジットのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ヴィジット(2015年製作の映画)
3.5
ベッカ(15歳)とタイラー(13歳)の姉弟は、母が家出してから15年間音信不通だった祖父母の家にふたりきりで1週間訪れる事になる。
雪の残る田舎の家。スマホの電波も届かない。
初めて出会う優しい祖父母に迎えられたのだが、段々と彼らの怪しい行動を目撃する。
加齢による症状だと説明されるが、その行動は段々と…
そして、明らかとなるある事実…

姉弟がこの旅をドキュメンタリーとして録っているのでPOV。2台のカメラを使用。だけど、基本的に固定されてたり置かれていたりで、また手持ちでもブレが少ないので、画面は安定しています。でも、臨場感はきちんと残しつつ、子供が撮ったとは思えない完成度の高さw

オチは早い段階でわかってしまってたんだけれど、始終、ほんとにそれがオチかな?シャマランだからどんなのがくるのかなと、サスペンスとして楽しめるし、そのミスリード感もうまい。そして、それが明確になった時の爽快感はなかなか良い。
シャマラン監督の作品は、オチによくマーケティングの重点が置かれるけど、正直なところわかるし、今回も良いところはそこではないと思います。

そして、これはホラー映画ではない‼
あえてホラー要素を少し排除し、チープなB級にしあげ、コメディ色を強くしています。
ベタなところでベタな驚きをもってくるのも、あえての事だと思う。だからびっくりはしなかった。ゆえに、ホラー映画の「怖さ」を求めてはいけません‼

この映画の一番の面白さは、祖父母の奇行‼キモい!
次にどんな奇行をおこしてくれるのか、そればかりを楽しみにしてしまった。
途中からニヤニヤしっぱなしだった。
最初のお尻とゲロ歩きから、おばばちゃんの奇行の虜でしたw Vivaゲロゲロ‼‼

かつ、やはり緊張感もあり、何が起こるのかわからない気持ち悪さもきちんとあります。怖さというよりも、異常性の不気味さ。
そこの気持ち悪さが面白くてならない。

その間に挟まる姉弟の関係も良いのです。仲良しだし。なぜ仲良しなのかも、その家族のある背景があるからだし、カメラで撮りなれているため、プロかというくらい楽しそうにうまく進行し、ラッパー気取り(Tダイナマイト)の弟がユーモラスなため、飽きさせない。
これは、家族の再生とトラウマの克服、許しの映画でもあります。
ベッカがなぜこれを撮っているのか…段々とわかるその本心。その家族愛を感じる事の出来るものでもあります。
後から祖父母の葛藤を考えると、胸が締め付けられたりするのです…

理解のできない空間に入り込んでしまった場合、微力な子供たちに何ができるのだろうか…トラウマを抱えつつ、それに立ち向かう二人がいとおしくも、笑わせてもらえました。
MikiMickle

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