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光のノスタルジアのseckeyのレビュー・感想・評価

光のノスタルジア(2010年製作の映画)
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全く関係のない私からみたらなんて美しいんだと圧倒される景色が、遺骨を探す女性たちからしたら絶望が広がる景色でもあるんだと思うと不謹慎なのだろうか?と慎みながらも、アタカマ砂漠にどんどん惹かれてしまうな。
すごく良いドキュメンタリーだった。
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女性たちのインタビュー、ここまで話せるようになるまでを思うと胸が苦しくなった。20年間で蓄積された悲しみは増えたり混ざったり、癒えたり、希望を持って家を出てうなだれて帰ってきたり。そんな風に過ごした20年間だったのだろうか。
何もできない私は、彼女たちの大きな悲しみに日常的な救いがありますように、と願わずにはいられなかった。
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一方で冒頭のガスパールガラスさんの話が面白すぎてガッツリ心掴まれてしまった。こういう人たちとこういう話をする日常をおくりたい。
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(“現在”は細い線のようだと?
ーーひと息で吹き消せるほどはかない一瞬です)
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人間はどこから来たのか、生命の起源は、じゃあビッグバンの前は???という壮大なスケールに話がどんどん膨らみながら、目の前にある今この瞬間に恍惚と身悶えしていたい。尊すぎる偶然、いや必然と言い切りたい気持ち。
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こんな風に哲学フィルターでつらすぎる日常を見てみるとすっかり冷静になれる。だって視野が半径1メートルくらいから宇宙にまで広がっちゃうんだもんね、そりゃ私の恥ずかしさや消えない過去だってちっぽけです。
しかし私の存在がちっぽけというわけではなく、大いなる意志により生まれた一人の人間なわけです。命を紡いでここまで来たのだからちっぽけなわけがありません。
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改めて、哲学フィルターを多用することの大切さ、禅の世界やギャルマインドも取り入れつつ、なんとか冷静に保っていきたい所存です。
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PS/考古学者のインタビューで語彙力の高さが会話を豊かにさせるな、と改めて感じた。
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