はなればなれのマチルダ

ハッピーアワーのはなればなれのマチルダのレビュー・感想・評価

ハッピーアワー(2015年製作の映画)
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濱竜の"普通"の演出力にはやはり脱帽するしかなく、もはや笑えてくる領域ではあるが、5時間の中で一貫性というか、統一性というかが無い画作り、フレーミングには異議を唱えたい。旅館での麻雀シーンの小津的切り返しはとても良い仕事をしていたが。

しかし、とにかく言葉が良い。お決まりのイタリア式による相乗効果で、宙に浮かぶ言葉を客観的に5時間も見つめられるのは良い映画体験だったように思う。この作品だけを観ていたら、濱竜は作家にでもなった方がよっぽど良いのではないかと感じていただろうが、私はマスターピース「ドライブマイカー」を知っているため、本作を経て昨今の濱竜作品があると思うと、やはり一見以上の価値はあると言えるだろう。