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湯を沸かすほどの熱い愛のkuuのレビュー・感想・評価

湯を沸かすほどの熱い愛(2016年製作の映画)
3.9
『湯を沸かすほどの熱い愛』
映倫区分G.
製作年2016年。上映時間125分。

『紙の月』とか宮沢りえと、『愛を積むひと』などの杉咲花が母娘を演じ、余命宣告を受けた主人公の奮闘(温かい、いやホンマ熱い)に迫る家族ドラマ。
行方不明の夫を連れ戻すことをはじめ、最後の四つの願い事をかなえようと奔走するヒロインの姿を捉える。『チチを撮りに』などの中野量太が監督と脚本を担当し、物語を紡ぎ出す。母親と娘の強い絆はもとより、人生の喜怒哀楽を詰め込んだストーリーに夢中になる。

1年前、あるじの一浩(オダギリジョーはホンマ優男でダメ男似合うなぁ)が家を出て行って以来銭湯・幸の湯は閉まったままだったが、双葉(宮沢りえは迫真のラスト)と安澄(杉咲花可愛いし演技に惚れ惚れ)母娘は二人で頑張ってきた。
だがある日、いつも元気な双葉がパート先で急に倒れ、精密検査の結果末期ガンを告知される。
気丈な彼女は残された時間を使い、生きているうちにやるべきことを着実にやり遂げようとする。。。

題名から胸算できぬ作品。
観すすめるうちにジワジワくる題名。
そして、エンドロールでいやってほど腑に落ちる題名の作品でした。で
今作品は、宮沢りえの、肝っ玉的な明るくふるまう笑顔から、想像しにくい疲れの影、そして、徐々に死に向かう表情が真に迫る形相が、表現は間違ってるかもしれないけど、作品を盛り上げてました。
死にたくないと吐露する泪のシーンは、思わず貰い泣きしてしまうほど。 杉咲花も、母の終焉とは真逆に咲き誇るまえの可憐さがあり、母と対照的に見せる演技を巧みに演じてました。
母へ向いた顔では笑顔を、そして、母から顔を背けた時に歯を食いしばり泪をのみ、また母を見て笑顔になる演技など、この年の女優さんでこれができる人はどんなけいるやろか?
ある意味変態の域に達してる。
安曇役は杉咲花意外に愚かな小生は思い付かないほどです。
オダギリジョーも仮面ライダークウガだけに変身キャラ(仮面ライダーは関係ないけど)で色んな役をやってるけど、今作品がピタリといくかなぁと思いました。
松阪桃李や、駿河太郎などなど、 どの俳優さんも役にはまってたかな。
松阪桃李のキャラは必要か否かははじめは思たけど、物語のスパイスとして、見終わったときは善きキャラだと感じたかな。
キャラたちは、てか、人は何らかしら悲しみや苦しみを抱え生きてる。
また、複雑な人間関係のなかで生きている。
今作品では母ちゃんの存在で強くつながり、バトンを渡していく。
また、母と触れた人々がバトンを大切に抱いて歩んで行くであろう願える ヒューマンドラマでした。
徒然に駄文を連ねますが。
シニア世代だけではなく、老若男女問わず、命にかかわる病気に罹る場合がある。
とくに病気が進行すりゃ、もうこれ以上、回復の見込みがなくなってしまうといったことが起こり得る。
そんときは、できるだけ命を永らえさせる『延命治療』をおこなうか、
あるいは、延命をせずできる限り自然の流れに身を任せるかという選択をするケースが出てくる。
今作品ではそんな選択をする場面は出てこないまでも、宮沢りえ演じる双葉は自然の流れに任せ逝くことにしてるように思う。
その自然の中で何ができるかを模索しつつ行動し、展開していく。
そもそも延命治療てのは、生命維持処置を施すことによって、それをしない場合には短期間で死亡することが必至の状態を防ぎ、生命の延長を図る処置・治療のことを指す。
具体的な治療方法としては、
人工呼吸器による延命処置、点滴や胃ろうといった人工栄養法による処置、人工透析などがある。
逢えぬまま亡くなった母は胃ろう処置をしてたとき誤嚥性肺炎で逝ったと云うが運命には逆らえないのかな。
2017年に内閣府が発表した
『高齢社会白書』によると、65歳以上のシニア世代のうち91.1%の人が『延命のみを目的とした医療はおこなわず、自然にまかせてほしい』と回答している。
延命治療をするメリットてのは、人によっては、人工栄養や人工透析で年単位の余命延長があったり、中には状態が改善するケースもあるときく。
良く聴くのは、そうすりゃ、生きているあいだにやっておきたいことに取り組めるし、少しでも大切な人と時間を共にできると云われてる。
これまでお世話になった人に感謝の気持ちを伝える、家族との時間を楽しむ、相続で問題にならないように整理しておくなどを出来るコンディションにあれば良いが、重篤な延命治療中にはたしてそれらは可能かと云うと難しい。
しかし、大切な人たちの命は少しでも長くとどまって欲しいと云うエゴは、多くの人にあるし、いや、苦しむのを見ていられないってのもあると思う。
でも、一番大切なんは延命治療を受ける本人であって、意外に患者本人の意思が尊重されない可能性もなきにしもあらずやと思う。
重度の病気で意思疎通が難しい場合、『リビング・ウィル』って事前指示書があれば延命治療を拒否する意思志を示すことができるけど、リビング・ウィルを事前に用意してなかったら、本人の意思が不明なまま延命治療を選択せざるを得ないケースもある。
その結果、家族に対して延命治療の判断が委ねられる。
延命治療を中止する決断をくだす際に『本当にこれでエエんかな』
『本人の意思に反してへんかなぁ』と考え、心理的に大きな負担や苦痛を強いられることも少なくない。
そう云ういみで双葉は自身の判断で逝く道を選び示寂していった、運もあるケースやとは思う。
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