メイマーツインズ

この世界の片隅にのメイマーツインズのレビュー・感想・評価

この世界の片隅に(2016年製作の映画)
4.2
《昭和20年。広島・呉。わたしは ここで 生きている。》

今日は広島の日。

76年前の昭和20年8月6日午前8時15分、広島に原爆投下。

このアニメは初鑑賞。実写のテレビドラマは数年前に視聴した。
このアニメを観るためには、ちょっとした勇気が必要だった。
そして、8月6日の今日、観ようと決めた。


これは、戦争に翻弄される主人公すずと嫁ぎ先の家族をめぐる愛と希望の物語。

のどかで活気のある戦前の平和な雰囲気から始まる。素朴で優しいタッチがいい…

そして、戦争へ。

すずとその家族は徐々に戦争に巻き込まれていく…

海軍の要衝だった呉。瀬戸内海を航行する戦艦大和も登場し、戦時中の空気感がよく伝わってくる。実写ではなくアニメだからこそ、この70数年前の世界が違和感なく表現されている。
これこそ、アニメの役割ではないか。
素晴らしい!
すずの声がのんと知って、彼女とすずのイメージがぴったりと重なり、より作品の世界に惹きこまれていく…。
この作品に悲壮感はない。終戦後の描き方が温かく、希望を感じさせてくれるラストがとても心地よい。


核兵器廃絶というのが理想であることは間違いない。
ただ、今は現実的に不可能に近い。
核兵器という、強力すぎる悪魔の力を手にした人類。朝鮮戦争、キューバ危機で核兵器が使用される可能性があった。実際に検討段階までいっていたという(汗)
だが広島・長崎を知る人類は踏みとどまった。
”核の均衡〟が、大国間の全面戦争を抑制してきた現実。
第三次世界大戦は、文明社会の崩壊を意味する。
広島・長崎での数十万の方々の尊い犠牲が、世界平和の礎になっているのではないか。自分はそう思いたい。
私たちはいま、その平和を享受しているのを忘れてはならない…。

後世に残したい珠玉のアニメ作品。数年後、次は子供たちと一緒に…