スローモーション男

ロブスターのスローモーション男のレビュー・感想・評価

ロブスター(2015年製作の映画)
4.5
 『哀れなるものたち』の前にヨルゴス・ランティモス作品を。

 『籠の中の乙女』が生理的にダメでしたので、敬遠してましたがとても面白い映画でした。

 45日以内にパートナーを見つけないと、動物に変えられてしまう。そんな法律の中で生きる孤独な主人公の葛藤の話。

 システムのやり方がめちゃくちゃ面白いのと、ことあるごとに謎のバイオリン不協和音鳴って、シュールな笑いがありました。
 前半はコリン・ファレルがパートナーを見つけるためにホテル内でもがき苦しむ様子が描かれ、そこから逃げ出した後半はシステムに反対するゲリラたちの仲間に入るが、そこで女性に恋をして…。

 後半の連合赤軍内ゲバのような、リア充許さん❗とリーダーのレア・セドゥが攻撃する辺りも良かったですね。

 やっぱり今も結婚しない人は変な人扱いされる社会の風潮があり、多様性と言われても人間は心の中ではバカにしているし排除したいと思っている。それを動物に変えるというシステムがとても面白かったです。
 最後に失明した彼女と同じように失明しようとする主人公の葛藤。北野武の『Dolls』にも似たシーンがありますが、ここでは愛することは良いことなのかと最後までためらいを描いたのが良かったです。

僕はクラゲになりたい