天豆てんまめ

ワイルド・スピード ICE BREAKの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

4.0
最終3部作の序章への決意が溢れた快作だと思う。

冒頭のキューバの雰囲気も最高で、そこで魅せるリラックスしたドミニクとレティの生活、そしてカーチェイスバトルで気持ちも盛り上がる。

その後の3大シークエンスの刑務所内のバトル&ニューヨークのど真ん中でのストリートバトル&クライマックスの氷河、潜水艦バトルはそのド迫力のぶっ飛び方は更にパワーアップ。身体で思い切り堪能した。

今回新登板のF・ゲイリー・グレイ監督は「ミニミニ大作戦」でカーチェイスものをしている経験と「ストレイト・アウト・コンプトン」で人間ドラマの構築にも定評がある監督だけにテンポよく、でもキャラクターの魅力を増幅していると思う。

そして、今回キャラクターで全て場をかっさらうのはジェイソン・ステイサムだった。彼と赤ちゃんのアクションシークエンスは笑いと興奮が融合してもう最高!

そして、ドウェイン・ジョンソンとの肉弾コンビも弾けて面白い。2人の格闘の違いがコントラストとなり飽きさせない。

物語の中核はファミリーを裏切るヴィン・ディーゼルの葛藤と真相をサスペンスとしつつ、何よりもミシェル・ロドリゲス扮するレティとの愛と信頼の揺らぎが見どころだと思う。

最強の敵サイファー扮するシャーリズ・セロンもフュリオサの野性とは違う知的ハッカーで冷たい恐ろしさと醸し出し魅力的だった。

そして、いつものメンバーの安心感。ギャグ選任のローマンとテズのやり取りもいつも通り笑わせてくれて、そこにノーバディ親子が絡むのが今回面白かった。前作から参加のナタリー・エマニュエルはまだ薄いかな。過去作品でドミニクと絡む人物がこの作品のキーパーソンとなるのだけど、ワイルド・スピードは8作紡ぎ合えて、途中薄くなった人物をまた重要人物に添える辺りがサーガ所以の面白さだと思う。

また、ニューキャラクターとして、イギリス女優至高の「クイーン」ヘレン・ミレンの登場も味がある。そして、、、ポール・ウォーカー=ブライアンへの想いも折々に滲み出ており、それがとても嬉しかった。

前作のようなドラマティックな余韻よりも最終3部作への気合いが前に出た作品だけど、やはり軸はファミリー。そしてファミリーの根幹が揺さぶられながらも、強く成長・拡大していく。なんせ最悪の敵だったジェイソン・ステイサムまでも取り込んでしまうのだから。

今後も更なる驚きのアクションシークエンスと共に、ファミリーのエモーショナルな葛藤が肝になるのだろう。さあ、10作完結までいよいよ後2作。どう締めくくられるのか、最後まで存分に楽しみたい。