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ラ・ラ・ランドのYYamadaのレビュー・感想・評価

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)
3.9
【戴冠!ゴールデン・グローブ賞】
 ~オスカー前哨戦を制した作品たち

◆第74回(2016)G.グローブ作品賞受賞
 (ミュージカル・コメディ部門)
◆同年のアカデミー作品賞
『ムーンライト』

〈見処〉
①ミュージカル・ジャンルを復権!
・『ラ・ラ・ランド』は、2016年に公開されたミュージカル映画。タイトルは「ロサンゼルス」と「現実離れしている状態」の2つの意味を成している。
・舞台はロサンゼルス。高速道路の渋滞に巻き込まれていた女優志望のミア(エマ・ストーン)は、車中で台詞を覚えようも、後続車のセバスチャン(ライアン・ゴズリング)に煽られて悪態をつく。
・結局、オーディション落選にて意気消沈していたミアは、ピアノの音色に誘われて入ったジャズバーにて、ピアニストのセバスチャンと2度目の出会い。
・そして後日、ミアはあるパーティ会場のプールサイドで不機嫌そうに80年代ポップスを演奏するセバスチャンと再会。初めての会話でぶつかりあう2人だったが、互いの才能と夢に惹かれ合ううちに恋に落ちていく…。(eiga.comより抜粋)
・本作は『セッション』で注目を集めたデイミアン・チャゼル監督による往年のミュージカル名作を彷彿させる演出が評価され、第74回ゴールデングローブ賞では作品賞(ミュージカル/コメディ部門)を含む史上最多の7部門を獲得。
・また、第89回アカデミー賞でも史上最多タイとなる14ノミネート。監督賞、主演女優賞など計6部門で受賞。
・実は隠れた「ミュージカル映画大国」の日本と異なり、本国アメリカではミュージカルは集客不芳のジャンルであったが、本作による批評面・興行面の成功により、ミュージカル分野「復権」に寄与した作品となった。

②若き才能、デイミアン・チャゼル
・本作は、デイミアン・チャゼルの第2回監督作品。ハーバード大学卒の超エリートである彼は、もともとはジャズミュージシャン志望も、自分の才能に限界を感じ、映画製作分野に歩みだした異色のキャリア。
・脚本家としてキャリアをスタートしたチャゼルは、2010年の時点にて本作のシナリオを書き上げていたが、「キャリア・ゼロ」「オワコンのミュージカル分野」に出資判断する映画スタジオは皆無。
・チャゼルは、自身のルーツを題材にした、もう一つの企画『セッション』の映画化を優先させ、同作は大成功。ニュースターとなったチャゼルの持ち込み企画『ラ・ラ・ランド』に対して、映画製作会社のサミット・エンターテインメントのが出資・配給に同意。
・本作により、デイミアン・チャゼルは、史上最年少の32歳でアカデミー最優秀映画監督を受賞。本作はエマ・ストーンのシンデレラ・ストーリーがクローズアップされがちであるが、本作監督の成功の物語も負けていない。

③結び…本作の見処は?
○: 古くて新しいミュージカル。特に冒頭の高速道路のシーンと、パーティーに向かうミアら4人の女性による、ミュージカル・シーンのカメラワークは「ワンカット」ブームの現代風演出で、観ていて楽しい。
○: ミュージカル出身ではないエマ・ストーンとライアン・ゴズリング。3度目の共演で息もピッタリ。一部酷評されたが、素晴らしいパフォーマンスだと思う。
○: 結末はバッドエンド?評価が別れるところであるが、作品質を下げる終わり方とは思えず、肯定的に捉えたい。
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