サラフィアー

AMY エイミーのサラフィアーのレビュー・感想・評価

AMY エイミー(2015年製作の映画)
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あらすじ(Googleより)名だたるミュージシャンたちに歌声を絶賛され、世界中で愛されながらも27歳の若さで他界した孤高の歌姫、エイミー・ワインハウス。彼女のプライベート映像や関係者たちの証言などを通して、その素顔に迫っていく。

つらそうで避けてしまってたんだけど、また映画をやると聞いたので鑑賞。

私がエイミーを知ったのは亡くなってから。ブルーノ・マーズのライブ映像をひたすら漁りまくっていた時に彼がエイミーのトリビュートで歌った「Valerie」が好きでそこから彼女を知った。そのヘアスタイルとメイク、ハスキーでパワフルな歌声は「レトロ」で60年代くらいの歌手かと思ったら2000年代!?と驚いた。

エイミーの音楽は60年代ソウル好きの私にとってはドンピシャですぐに好きになったし、それ以降よく聴いていたけれども、彼女自身のことを知るのは初めて。
エイミーがどれだけ音楽を愛し、こだわり抜いて、苦しみながらも名曲を生んだその過程を、そして痛みを感じることができた。
彼女の才能は誰しもが認める「本物」で、彼女の経験や苦しみなしにはこの素晴らしい音楽たちは生まれなかったなんて言いたくないし、そんなことないと思う。
本人は認めたくなかったのかもしれないけれど、助けが必要だったエイミーをもっと早い段階でなんとかできなかったのかと残念でならない。
彼女ほどの才能があればしばらく休養したって忘れられやしないし、何よりも彼女自身が守られるべきだった。
彼女の幼馴染たちはやれることをやっていたのだろうし、涙ながらの証言にそれが現れていたけど、父親と元夫はどうか。
この映画だけの情報ではあれど、エイミーが愛して尊敬していたこの二人が、彼女がもたらすものではなく、もっと彼女自身を見ていたら何か違ったのではないかと思ってしまう。なんとなく一線を引いているような二人の態度が気になった。特に父親は口から出る言葉は契約、自己責任、仕方なかった、みたいな言葉ばかり。
自分の娘が限界に近づいているのは明らかなはずなのに、どうして彼女の安全を、幸せを優先できなかったのかと思ってしまう。機会はあったはずなのに…

50回グラミー賞で憧れのトニー・ベネットから受賞を告げられるエイミーの姿で涙が出た。
彼女と一緒にノミネートされていたのはビヨンセやリアーナ、今のレジェンド級のアーティストたち。
もしも生きていたら、エイミーが出す音楽はどうなっていたのか、今の音楽シーンはどんな風になっていただろうと考えてしまう。
その短すぎる人生だけでも、彼女の音楽はその後のアーティストたちに大きな影響を与えているのに。

辛い。残念でならない。彼女が亡くなったのは2011年。10年ちょっと前の出来事。
今のアーティストたちにこんなことが起きないことを祈るばかり。
特にパパラッチやメディアは醜かったが、今はこれにSNSが加わる。どうか、若き才能を追い込むようなことはしないでくれ。