Yoshishun

クーキーのYoshishunのレビュー・感想・評価

クーキー(2010年製作の映画)
3.7
観る気もなかった作品も漁ってみようのコーナー③

チェコ版トイ・ストーリーとして2010年に本国で公開され、『トイ・ストーリー3』を超える大ヒットを記録したアドベンチャー。日本では、監督の知名度もあってか、5年の時を経てようやく公開された。

喘息持ちの少年が大切にしていたクマのぬいぐるみ"クーキー"。長い時を経て汚れ、少年の喘息を悪化させるとして母に捨てられてしまう。クーキーは家に帰ろうとするも、道中森に住む奇妙な生物たちと出会う。

チェコの伝統芸能であるマリオネットによるパペット撮影、VFXを最大限に活かした独特の映像世界が素晴らしい。監督が「敢えて手作り感を出した」と述べるほど、手作り感溢れるキャラクターたちは、驚愕の撮影法も相まって不思議な暖かさを生み出す。加えて、まさかのカーチェイスもパペットで描いてしまうのだから物凄い。疾走感もうまく表現されている。

また、確かに持ち主の元に帰るというストーリーは『トイ・ストーリー』そのものではあるが、世界観や展開は大きく異なる。ディズニーも真っ青な拷問シーンも含まれており、子供向けにしては刺激が強いこと請け負い。チェコ映画らしさの詰まったブラックユーモアを楽しめる。もう一人の主人公である少年のストーリーが単純すぎて、パペットシーンとの熱量の差が大きいのが難点。

96分と見易いので、チェコ映画初心者の方でも取っつきやすいと思う。
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