ぶみ

セルフレス/覚醒した記憶のぶみのレビュー・感想・評価

セルフレス/覚醒した記憶(2015年製作の映画)
3.5
家族を守るちからが、彼を最強にする。

ターセム・シン監督、ライアン・レイノルズ主演によるSFサスペンス。
余命半年と宣告された主人公が遺伝子操作により作られた肉体に頭脳を転送し、新たな人生を始める姿を描く。
主人公となる建築家・ダミアンをベン・キングズレー、ダミアンが転送された男・マークをレイノルズ、マークの妻・マデリンをナタリー・マルティネスが演じているほか、マシュー・グード、ヴィクター・ガーバー、デレク・ルーク、ミシェル・ドッカリー等が登場。
物語は、クローン技術により作り出されたと説明を受けた肉体が、実は新品ではなく、生きていた頃の記憶が残っていたことからダミアンが組織に狙われる様が中心となるが、本作品の肝は、やはりその設定。
人格が入れ替わったり、乗り移ったりする作品は散見されるものの、本作品は新品の肉体に頭脳のみが転送されるという内容であり、新たな人生を堪能していたダミアンなのだが、中盤以降、体の本来の持ち主であるマークの記憶が時折フラッシュバックするようになると同時に、秘密組織に狙われる展開となるため、一気にサスペンス調に舵を切っていくことに。
本来のダミアン演じるキングズレーは、早々にその肉体を失ってしまい、登場シーンが少ないことから、事実上の主演はレイノルズであり、ダミアンの頭脳とマークの記憶との間で葛藤したり、苦悶する主人公を見事に演じている。
クルマ好きの視点からすると、イケイケな主人公が乗るクルマが銀色に輝くランボルギーニ・アヴェンタドールのロードスターという、これまたイケイケなモデルであったのは、それだけで目の保養になったところ。
本来の体の持ち主であるマークの人となりの描写が薄かったり、はたまたクローン技術の説明がなかったりと、ところどころツッコミどころはあるものの、頭脳の転送のみならず、不老不死の問題にも踏み込んだエンタメ作品として楽しめるとともに、若き肉体を手に入れるという設定から、例えるなら、もし今の頭脳で、横浜流星や山田涼介の体を手に入れたとしたら、あんなことやこんなことをしてみたいと、妄想が止まらない一作。

何事にも「保険」を用意する。
ぶみ

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