もこもも

5時から7時の恋人カンケイのもこもものレビュー・感想・評価

5時から7時の恋人カンケイ(2014年製作の映画)
4.2
街並みや挿入歌、作風から感じる
美しさと哀しさがすっと胸に入って
観終わった後も胸に余韻が残っている
素朴だからこそロマンチックな美しさと
恋愛の哀しさがより際立って輝いていた
作風もジャケも素敵で大好きな作品

「ニューヨークに関する明言は
 本や映画や劇の中でなく
 公園のベンチにある」

小説家を目指す青年・ブライアンが
タバコを吸う女性・アリエルに一目惚れをして、
2人は5時から7時の間だけ会う関係になる...
5時から7時の関係というのは
フランスでは"不倫"を表す言葉であり、
この作品を観ても不倫に対するイメージが
変わったわけではないが、それでも
ブライアンとアリエルの恋心は美しかった
マンハッタンの美しい街並み、
純朴で心に寄り添う挿入歌、
そしてなにより純愛に近い2人の恋心
そのどれもが素敵だったからこんなに心に響く

「人に対する固定概念を捨ててみて
 世界の美しさに驚かされるはずよ」

大胆で楽観的なフランスの人間性
フランスの人間性と言って良いのかは
わからないけど少なくともアリエルはそうだった
国が違ったら考え方も文化も全然違うんだなと
不倫相手を夫に紹介したり、
子供も知っていたり、
驚かされることが多くて、
ブライアンと同じ気持ちを抱いて
物語は進んでいく
アリエルがとても美しくて可愛らしいし、
ブライアンの好青年なところが好感を持てる
乾杯するときは目を見ることを意識しよ

「永遠に続かなくても価値がなくなるわけじゃない
 そう考えたのは2人の関係を悲嘆するより
 楽だからかもしれない」

本当の恋を知ったブライアンとアリエル
ただ2人の間には不倫という大きな壁が
あるので物事はうまく進ませてはくれない
ブライアンがプロポーズする思いも、
アリエルの最後の手紙も、どちらも現実を感じて
共感できるからこそ胸が痛かった
失恋の経験を持つ人は皆ブライアンの
悲しさと虚しさに感情移入してしまうと思う

「-あなたのハートを抱きしめる-」

家族を手にしたブライアンの前に現れたアリエル
このラストシーンの余韻が堪らない
哀しさと愛らしさに胸の底から
熱が込み上げてくるのを感じた

「絆は決して壊れることなく
 お互いの存在を密かに心に抱き続けるとね
 彼女のおかげで僕は作家になり 男になれた
 素敵な出会いにも恵まれるだろう
 でも、やはり
 彼女との出会いに勝るものはない」
もこもも

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