千年女優

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破の千年女優のレビュー・感想・評価

3.5
NERVで葛藤を抱えながら綾波レイと共に使徒を撃退する碇シンジ。新加入の2号機パイロット式波・アスカ・ラングレーとの出会いを経て各々が心境を変化させる一方、月面ではMark.06に乗る渚カヲルが目覚め、北極基地では真希波・マリ・イラストリアスが5号機で使徒を撃退。運命のこども達の集結が齎す衝撃を描いたSFアニメ映画です。

優秀なクリエーター集団による斬新なSFロボット戦記の一面と、若者の特権と言える「選ばれし者」憧れを満たす物語の二面性を持つTVシリーズ。90年代日本が直面した行き詰まりによる若者の閉塞感を見事に捉えながらも、同時に生まれたインターネットによる新たな可能性を上手く取り込めずにいかにもな若者の妄想に世界観が留まります。

未来世界でありながら携帯電話もなくネットワークで外界と繋がろうとしないエヴァ世界の限界は新キャラ登場でも顕著に思えますが、一方で最新のCG技術で作られた滑らかで奥行きがあるアニメーションは素晴らしく、三次元的なロボバトルで惹きつけます。歪に成長して相反する事になったふたつの狭間で好き嫌いを揺さぶられる一作です。
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