<概説>
ドイツ前衛芸術映画界の巨匠ハンス・リヒターによる一作。白と黒のシンプルな図形の工作が、映画という媒体の根底を我々にさらけ出す。
<感想>
はじめてのダダ映画にしてはメッセージ性が非常にわかりやすい一作。視聴するつもりで視聴したならハッとさせられますし、娯楽映画と芸術映画の草分けをした初期の作品としても楽しいです。
映像はそれぞれの長方形が独自のリズムで動いているだけ。本当にそれだけで娯楽性は絶無です。
しかし最初平面的だったそれが次第に次第に縦と横の二次元空間を強調するように変化し、そこからさらに奥行きの三次元空間の強調へ。
しかし最後の映像はまたシンプルな平面へと収束し、この脳内で展開された空間は幻想によるものだったと判明する。
この解釈が当たっているかはわかりません。けれどもしこの思想が映像作品黎明期に映像として提示されたなら、それはなかなかに驚異的なことでしょう。
しかし『リズム23』から『リズム21』というタイトルの変遷。これが意味するところはいったいなんなのでしょうね。