千年女優

リリーのすべての千年女優のレビュー・感想・評価

リリーのすべて(2015年製作の映画)
4.0
1926年。デンマークはコペンハーゲンで活動する風景画家で、妻で肖像画家のゲルダからドタキャンしたモデルの代わりに女装をお願いされたアイナー・ヴェイナー。深い考えもなく引き受けるたもののそれをきっかけに自分の中に眠っていた女性を目覚めさせて「リリー」を名乗りだした彼女が、そのことで抱える苦悩を描いた伝記映画です。

デヴィッド・エバーショフ執筆の伝記小説を『英国王のスピーチ』や『レ・ミゼラブル』で歴史映画に定評のあるトム・フーパー監督で映画化した作品で、題材故に配役に難航して後に潮流に反することから本人はやるべきでなかったと口にするもエディ・レッドメインとアリシア・ヴィキャンデルの熱演が多くの観客から好評を獲得しました。

『博士と彼女のセオリー』でオスカーを獲得したレッドメインが難しい役どころを流石の繊細な演技で表現し、心中の複雑さではそれ以上の妻役ヴィキャンデルが素晴らしい助演で盛り立てます。あの時あれをしなければ……。数々の後悔が連なる物語は人生そのもので、それでも出会ってしまった二人の間にある必然に迫ろうとする一作です。
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