か

火祭りのかのレビュー・感想・評価

火祭り(2006年製作の映画)
4.3
いわゆる昼ドラ的な痴情のもつれを第三者の視点を通して醜く描いているだけなのに、こうも画面に釘付けにされるとは考えもしなかった。
“何か”に気づいた家政婦の眼前を炎の揺らめきが照らしていく演出が美しい。この頃のファルハディは後年に比べて登場人物の表情をしっかり見せようとしてるのが伝わってくる。

背景でずっと鳴ってる爆竹は昂る感情を表現するのに一役買っているんだろうけど、ちょっとやりすぎ感が強いような気がした。インパクトは絶大だけどやかましい。

光るものがありながらも全体的には拙い印象に終わってしまう「砂塵にさまよう」に対して、「美しい都市」と「火祭り」は作品としての完成度が極端に上がっているように見えた。1年くらいしか期間が空いてないはずなのにいったいファルハディに何があったのか。見る度に自己ベスト急が更新されていく、本当に好きな映画監督の1人。
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