ショコラ

午後の曳航のショコラのレビュー・感想・評価

午後の曳航(1976年製作の映画)
3.7
三島由紀夫の同名小説の映画化。

イギリスの小さな港町。

13才の多感な少年・ジョナサンの目を通して描かれる、醜い大人の世界。

彼の母・アンはアンティークショップを営む未亡人。

まだ若く美しい彼女は、女盛りの肉体を持て余していた。

ある日、ジョナサンは自分の部屋のクローゼットに、母の部屋に通じる覗き穴を発見する。

夜な夜なその穴から見える、母の淫らな姿。

熱情を秘めた役柄が上手い、サラ・マイルズ。

そして、寄港した逞しい船乗りジムとの出会いが、運命の歯車を狂わせていく。

どことなく大人びたジョナサンが所属する、秀才少年5人で構成された秘密クラブ。

絶対的権力を持つ“チーフ”と呼ばれる少年を中心とする、それぞれ番号で格付けされた少年達。

この“チーフ”がこましゃくれた悪ガキで、見た目は美少年だが、大人を見下した残忍なキャラクター。

13才らしからぬ恐るべき子供達。

彼等が猫を○○するシーンには、背筋が凍る。

ジムの男らしさに憧れを抱き、英雄と崇めていたジョナサン。

彼と恋に落ちた母の、覗き穴に映るふたりの情事。

ジムへの敬愛が、やがて幻滅と憎悪に変化した時、思いもよらぬ行動に出るジョナサンと少年達。

ラストの衝撃と、後味の悪さ。

場面にそぐわぬ、美しい景色とテーマ曲。
ショコラ

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