たむ

ボス・オブ・イット・オールのたむのレビュー・感想・評価

3.5
ラース・フォン・トリアー監督のレトロスペクティヴ。
日本劇場未公開の異色の喜劇です。
オートマヴィジョンという撮影手法も独特なうえ、明らかに躁状態になっているテンション、一貫した作家性。
その異様さは、本作だけというより、トリアー監督のフィルモグラフィによってより際立ちます。
『ドッグヴィル』『マンダレイ』、それに続く『ワシントン』が挫折し、本作を挟んで、3年間の沈黙の後に出てくるのが『アンチクライスト』…。
トリアー監督の極限的なドラマは、どんなにシリアスに描いても、極端すぎて時に笑いを伴うものです。
本作はコメディというジャンルで、普段笑っちゃいけないよな…と思っている状況を笑い倒そうとしています。
その異様なテンション。
これはジョークですよ、笑ってください、と言われたら、どういうことになるか…本作はそんな映画ですね。
たむ

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