前作「マンハッタン無宿」で初めてタッグを組んだドン・シーゲルとクリント・イーストウッド。1作目は肩慣らし程度であったが、この2作目あたりから徐々にエンジンがかかってくる。
共演は当時既に世界的な大女優となっていた「アパートの鍵貸します」のシャーリー・マクレーン。フランス占領下のメキシコを舞台に、革命を目指すゲリラ部隊に協力する男女の恋愛要素を織り交ぜたウエスタン・ロードムービー。音楽は〝ドル箱三部作〟も担当したエンニオ・モリコーネ。
物語は単純明快。流れ者のホーガン(イーストウッド)がメキシコの荒野で3人の男に乱暴されそうになっていた尼僧サラ(マクレーン)を救う。メキシコの革命派に協力して大金を儲けようと目論んでいた彼は、サラとともに革命派のもとへと向かい、フランス軍輸送列車の爆破計画を請け負うというもの。
この映画が面白いのは、クライマックスの戦闘シーンよりも、一緒に旅をする2人の道中での出来事。凄腕ガンマンのホーガンの腕前もさることながら、サラも地元民の強みや持ち前の機転を利かして大活躍。ホーガンは、尼僧にしては妙に色っぽいサラが気になりながらも手を出せずに、悶々とする様を面白おかしく描いている。
なのでイーストウッドの華麗なガンアクションを期待すると肩透かしを食らうことになる。どちらかと言うとダイナマイトや機関銃を使った大味なアクションが中心。〝ドル箱三部作〟でのリー・ヴァン・クリーフやイーライ・ウォラックのような癖の強い好敵手が出ていないのも一因であろう。
この映画で演技派女優のシャーリー・マクレーンとの共演を果たしたイーストウッドは、改めて自分が目指すべき役者としてのスタンスを確信したのではないか。
自分には、細かい表情の変化や仕草で人の心を動かすことはできない。〝俺は生涯クリント・イーストウッドを演じる〟そんな決意表明が垣間見られた作品だった。