okawara

夢のokawaraのレビュー・感想・評価

(1943年製作の映画)
4.7
女家主の疑惑の視線が、レストランの給仕の疑わしげな視線を介して息子たちに降り注ぐ類稀なる画面連鎖、すなわち女家主の息子に対する疑惑が、それらの画面連鎖を経て決定的に濃度を増していく、実に映画的な手つきに甚く感動した。
その直後、上着を剥がされた息子がレストランの階段を駆け上がる屈辱の光景は、以降幾度となく画面に(一切の不手際なく)収められる階段を、悲劇の舞台として周到に用意する。

いま見直すことの同時代性は無論のこと、思い切って言ってしまえば、これは完璧な映画だ。
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