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MERU/メルーのwigglingのレビュー・感想・評価

MERU/メルー(2014年製作の映画)
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登山に取り憑かれた男たちが、難攻不落と言われるヒマラヤ・メルー峠のシャークスフィンに挑む姿を記録したドキュメンタリー。

シャークスフィン(サメの背びれ)とはよく言ったもので、あの形をした絶壁がオーバーハングしてる(ひさしのように反り返っている)冗談みたいな壁ですよ。
しかもマイナス10度を下回る気温の中を酸素ボンベ無しで挑む。死ぬ気か?ってくらいのエクストリームっぷり。

自分がいちばん怖かったのは絶壁でのビバーク方法。ザイルでぶら下がった鳥カゴ状のテントで休むんですよ。猛吹雪の中で。もちろんザイルが切れたらおしまい。
そして案の定、テントの骨が折れたりして大変なことになるという。

1度目の挑戦は長引く吹雪のせいで失敗するんだけど、頂上までわずか100メートルですよ。そこで退却する辛さはいかほどかと。
でもその短い距離が生死を分ける世界なんですよね、登山というのは。もう目の前に見えているのに手が届かない。

そして数年後に再チャレンジするんだけど、そこには大変な障害が立ちはだかる。彼らは困難を乗り越え登頂を果たすことができるのか。

どうですか、面白そうでしょ?でも、自分は本作が好きになれませんでした。
シーン転換時に挟み込まれるタイムラプスを使った映像のセンスの無さに心底うんざりしたんですよね。満点の星空をバックにそびえ立つシャークスフィン、もちろん超絶に美しいんだけど、こんなに濫用されたらノイズでしかないですよ。
美しい映像が途中からラッセンの絵にしか見えなくなってきた。

人間が限界に挑む映像だけで十分に見応えあるのに、なんてことするんだと。こういう作り手の自己満足ほど見苦しいものはないですね。猛省を求めます。
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