るる

レジェンド 狂気の美学のるるのネタバレレビュー・内容・結末

レジェンド 狂気の美学(2015年製作の映画)
1.8

このレビューはネタバレを含みます

いきなりエモいサントラと女性のナレーションから始まって、これは思ったより見やすい映画なのでは?と期待。ガレージっぽいサウンド、聴き覚えのあるアレコレなど、音楽に軽快さがあって好きだった。

気取ってるけど、ボリボリとレモン味の飴をかじったり、くすぐられるような面白さ。

トムハーディの顔面が面白い。てっきり一人二役、双子の抗争をサスペンスフルに描く内容だと思ってたので肩透かしを食らった気持ちだけど、この顔を双子にして、性格が違う二人として演じさせる、遊び心みたいなものを感じた。

60年代ロンドンのカルチャーも目に楽しく。なるほどな、トム・ハーディの女性ファンを意識した作りなのかな、なんて。めちゃくちゃ女性を丁重に扱う、なんでこんないかつい副題つけたんだ、もったいないな。

デート中に男同士の仕事の密談に呼ばれてプライベートを邪魔するなと不機嫌になるレジー、ボーイズクラブのようなノリに付き合わなくていい、こういうふうに振る舞っていいんだ、という男性へのメッセージに感じるし、あれかな、『スーサイド・スクワッド』のジョーカーを連想。
現代の、女にモテる悪い男って、こういうのだよ、一人の女を愛することはダサいことじゃないんだ、60年代映画から、女性をトロフィー的に描く80年代映画を経て、時代が一周した感じもする。

でも、レジーには精神病の弟がいて。ここで障害者の家族問題をぶち込むか?と。弟を優先するレジーに愛想つかした妻フランシス。うーん、なんとも言えん描写。急に描写が雑。

そして死んでしまったフランシスに指輪をはめるレジー。おいこらおい、なんだそりゃあ、前半、やたらロマンチックに撮るもんだから、後味が悪い、なんなんだよと。

夫との関係を苦に自殺した女にナレーションをさせて、そこ関係を良いように語らせて締めくくらせる、しかも実話、ちょっと悪趣味、誠実さに欠けるわー。

拷問と戯れの裁判、あれはいい雰囲気だったな。殴り合いには流血もあるのにバカバカしさがあって、もっと疾走感があったら良かったのに。

とにかく、レジーよりロンが良かったなあ。女じゃなくて男にしてくれ、ってあの場面で言う面白さ。破天荒さの種類が違うというか。フランシスにかけた言葉、あの奇妙な三角関係っぷりに焦点当てて作ってくれたらもっと楽しめたのに。

いやはや変な映画。テーマが散漫。結局、一人二役の撮影に手間取ったんじゃないのかって。双子の関係の描写が少なかったのが致命的かな。

ギャング映画のイメージを覆そうとするギャング映画として、これはこれで。嫌いじゃないけど。せめて90分にまとめて欲しかった気持ち。ちょっといただけなかった。
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