8さん

独裁者と小さな孫の8さんのレビュー・感想・評価

独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)
3.6
クーデターで地位と行方を追われた独裁者と幼い孫の逃亡の旅を描いたヒューマンドラマ作品。

独裁政権に支配されているある国。ある日、突然クーデターが起こり、老いた独裁者は幼い孫と共に逃亡を余儀なくされる。彼は多くの罪なき国民を政権維持の為に、処刑してきた冷酷な男だった。男と孫は素性を隠しながら、目的地を目指すが…

安住の地はあるのか?

2人が逃亡の旅で目の当たりにする驚きの光景とは…

自らの過去の罪に追われる独裁者と孫の衝撃的な結末とは…


『逃亡の果てに、希望はあるのか』


何でも思い通りにいく、そんな嘘みたいな本当の国の話。甘い蜜を吸えるには、それまでの苦労がある訳で今作で言うならば、国民がその苦労や犠牲を払ってきたという事でしょう。詳しく描かれない国王の独裁ぶり。一体彼はこの国で何をやってきたのか?国が堕ちる時、彼は何をしているのか?

突如巻き起こるクーデターの影響から、生活の全てが一変する。市民の生活からは程遠い暮らしぶりをしていた家族は、その身を危ぶまれ生きる事に必死である。ぬくぬくと育んできた家族には、もはやこの地に安住の地は見当たらない。安全と平穏を求めて、亡命者の如く彷徨い続ける。その姿は最早独裁者ではなく、徐々に人間性を取り戻していく1人の人間である。

ラストシーンは強烈なメッセージ性が含まれていて、製作者側の意図が前面に表現されている。観る人によって抱く思いはそれぞれで、人生の数だけ独裁者の最期があり現実と理想の狭間で出す答えが非常に気になって仕方がない。
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