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共犯のkuuのレビュー・感想・評価

共犯(2013年製作の映画)
3.7
『共犯』
原題 共犯 Partners in Crime.
製作年 2014年。上映時間 89分。
女子高生の変死体を発見した3人の男子生徒が、彼女の死の真相を突き止めようと奔走する姿を描いた台湾発のジュブナイルミステリードラマ。
因みにジュブナイル(juvenile)てのは、小説のジャンルの一種で、英語では young adult fiction 。
図書館では young adult の頭文字を取ってYAの分類を設けている場合があるかな。
また、ジュブナイルの本来の意味は少年期で、日本では児童あるいはヤングアダルト向け作品の呼称として使われている。
日本で特に使用される語であり、ある種の和製英語で、ジュブナイルと銘打たれる作品は出版社によっても異なるが、10代後半から20代前半のいわゆるヤングアダルト文学の中でも、SFやミステリのようなジャンルの小説に対してのみ用いられる場合もある。
そないな意味では、見た目ヤングアダルトミステリーやけど、実際は本格的ミステリーでした。

高校生のホアン、リン、イエは、同じ学校に通う女子生徒シャーが通学途中で変死しているのを見つける。それまでほとんど面識のなかった3人だが、それぞれの理由からシャーが死んだ理由を調べはじめ、3人の間には友情が芽生えていく。シャーが内緒でつけていた日記に手がかりがあるのではないかと考えた3人は、日記を探しに彼女の部屋へ忍び込むが……。
視覚障害を持つピアニストを描いた「光にふれる」のチャン・ロンジー監督がメガホンをとった。主題歌は日本の人気ロックバンド「flumpool」。

台湾の青春映画かなぁと、映画ジャケをチラ見するかぎりではそう思ってた(文字は読んでない)。
そして、再生すること数分で、これは『あの頃、君を追いかけた』(台湾で最近最も成功したティーン向けロマンス映画)とは全く違うものやと悟った。
ある意味、今作品には恐ろしいほどケツの青臭ささがない。
もし、あらすじなど読み、よくある少年探偵団的なのミステリーやと思い見たのなら、良きも悪くも期待を裏切るかな。
個人的にはかなり嵌まった。
今作品は、とある女子の自殺で始まる。
同じ高校に通う3人の男子生徒、黄立淮、林永群、葉一凱は、別々に帰宅途中、路地で生々しい少女の遺体を発見する。
彼女の名前は夏薇喬、どうやら彼らと同じ学校に通う生徒やった。
警察に通報し、スクールカウンセラー(糞役に立たない)に相談したところ辺りから、3人は共通の体験を活かして急接近する。
グループのリーダー的存在てか、ある計画の牽引役である黄立淮は、3人が夏薇喬の葬儀に出席することを提案し、友情は無邪気なものから始まった。
しかし、好奇心はすぐに覗き見へと変わり、夏薇喬への執着が強まり、3人は彼女の廃墟と化したアパートに侵入することになる。
そこで彼らは、何者かが彼女を自殺に追いやった可能性を発見し、ホアンは彼女に代わって復讐することを誓う。
復讐の筋書きが濃くなるにつれ、夏薇喬の生と死をめぐる答えよりも、疑問が多くなっていくのがわかる。
しかし、クライマックスに差し掛かったところで、よりスムーズなアクションを期待させるような展開が待っている。
今作品の前半はすでにかなりミステリアスだったが、後半はさらにサスペンスに満ちている。
全体として簡単に予測できるものではなく、心臓の鼓動よりもわずかに遅いペースでドラマチックに進行する。
ティーンエイジャーの風味は今作品のドラマを引き立てるけど、それを決定づけるモンじゃない。今作品では、ソーシャルメディアの風評被害が筋書きとして効果的に取り入れられており、登場人物の若さを利用して、すべてをほんの少し不気味に見せている。
例えるなら、結局、血のついたナイフを持ちながら微笑む少女は、まったく同じことをする大人の男よりもはるかに不安や恐怖を煽るものなんやと思う。
登場する子供たちは事実上大人であり、登場する実際の大人の人物は、若さの闇の中で無力であるか、役に立たないかのように見える。
要は、大人はクソばかりで構成それてる。
ある種のキャラは成熟していると云えるかもしれないが、これは無邪気さの喪失を描いた映画ではなく、そもそも無邪気さがあまりないように思えるからです。
今作品はダークでスリリングな作品でした。
登場人物は魅力的で、ストーリーはひねりに満ちてたし、嵐のようなビジュアルと不吉なサウンドトラックが、その影をさらに彩ってた。
その気質は完璧に芸術的とは云えないし、実存主義文学への言及は少し風変わりすぎるように思えるかもしれないが、今作品は個人的には期待を上回る作品であり、謎の余韻を残すものであったっすわ。
どーでもエエんですが、作中、学校の図書館で少女がカミュ著の『異邦人』を手にする描写があったが、カミュを中国語で加缪と書くんやとはじめて知った。
その『異邦人』の横にはサリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』("The Catcher in the Rye")があった。
あの図書館の本棚はどないな分類方法なんかわからんなぁ。。。
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