このレビューはネタバレを含みます
金曜に出会って日曜に別れを迎える期限つきの恋愛だけど、たった2日間なのに凄く濃密な時間だなぁと思いました。短いけれど記憶に強く残る恋愛。
親しい友達だけにカミングアウトしているクローゼットなラッセルとオープンで常に戦っているグレン。まったく正反対な生き方。同じゲイでもこんなに違うというコントラスト。ふたりとも大切な自分を守るための選択であって、どちらが正解でどちらが間違いでというものではないんです。でも、そういう正反対の同族との出会いが刺激やインスパイアになって、ラッセルはクローゼットな生き方をしている自分に、グレンは戦う生き方をしている自分に、それぞれ疲れていることに気づいたんだと感じました。
クローゼットとオープン。それぞれの生き方にメリットもあれば苦悩もあるわけです。ラッセルとグレンがディスカッションするところは、ドキュメンタリーっぽさもあり、ただの表層的な恋愛描写だけでなく、その奥にあるゲイとしての生き方、姿勢、葛藤がしっかりとリアル、かつ超ナチュラルに描かれています。
街中で平気で「オカマ」呼ばわりして中傷してくる奴がいるのは、この作品がつくられた2011年の時代性だなぁと思うわけです。LGBTという言葉が用いられるようになったのは、2006年のモントリオール宣言が採択されてからのこと。2011年当時はまだまだ風当たりが強かったんです。その後、LGBTだけではセクシュアルマイノリティを表現しきれなくなって、LGBTQと言われるようになり、より理解が深まる流れになっていきました。でもまぁ、まだまだ理解されてないことを日々いろんなところで感じてますが。
ラッセルはガラケーを使っているけれど、スマホが普及したのもこの10年ちょっとの間。LGBTQに対する理解やケータイを通じて、たった10年ほどで激変している時代を感じました。