Mikiyoshi1986

神々のたそがれのMikiyoshi1986のレビュー・感想・評価

神々のたそがれ(2013年製作の映画)
4.3
ロシア映画界の巨匠アレクセイ・ゲルマン監督がこの世を去ってから今日で丸4年になります。

彼の遺作となったモノクロSF超大作「神々のたそがれ」は、「アンドレイ・ルブリョフ」のDNAを21世紀に持ち込んだかのような唯一無二の混沌肥溜め映画。
「フルスタリョフ、車を!」でのソビエト政権批判を別惑星の中世ルネサンス期に変換させ、
抑圧された古典惑星で神と崇められる地球人ドン・ルマータはクソとヘドにまみれた終末乱世に刃を剥きます。

「神の視点」から800年前の人間を愚行を俯瞰させつつも、やはりそこにはソビエト時代に経験したゲルマン監督の怒りと憤りが根底にあり、
ペレストロイカ以降、瀕死状態が露呈したロシア映画界への懸念にも繋がります。

しかしまじでこれほどのセットや美術小道具など、どんだけ大金を注いだのか分からぬ混沌世界を見事に創造してしまったゲルマン。
そのエネルギーはスクリーンを通し、幾世紀を越えて観る者を圧倒し続けることでしょう。

あと特筆すべき点は、主人公は唾の吐き方が異様にうまい。
Mikiyoshi1986

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