CureTochan

ナイトクローラーのCureTochanのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
-
Q. レネ・ルッソ姐さんと主人公がゴハン食べてるシーンまで来たんだけど、これって終わりまで観たほうがいいでしょうか。

「トゥモロー・ワールド」とともに、話に興味が持てなくてダラダラと交代で再生してきた一本。主役の芝居を楽しもうと思うなら、はじめは凡人で、次第に道を踏み外すという流れがほしい(その完璧な例がブレイキング・バッド)。こんなに始めからサイコパスの主人公では、役者だってやりがいがないだろうに。これで最後にサイコパスが治る、とかなら観てもいい。ルッソ姐さんのキャラがもう少し見えてきたら面白くなるのだろうか?

でも最初の何十分もかけて面白くなかった時点で、スリラーとして失格ではないか。せめて一人ぐらいは引きのあるキャラが欲しい。本作はアカデミー脚本賞をとったみたいだけど(ノミネート?)、作品賞以外のアカデミー賞など経験上、まったく参考にならない。特にシナリオは、セリフが対象であり、英語圏の人でないとわからないレベルの言葉遣いやブンガク的な理由で授賞しているので、面白さとは関係ない。過去の受賞作品を見るとよい。あのシックス・センスが受賞を逃していたりする。

もちろん、悪いのは見始めた私だ。くどいようだがインディジョーンズ5に2.5点などというスコアをつけた人と同じように、観るべきでないものを見たわけで、定額配信だとはいえ、いい歳をして楽しめそうかどうか見極められなかった。それにしたって本作とインディ5が、0.1点しか違わないってのは、スコアの仕組みに問題がある気がする。半分も観てないけど。

スコアとアカデミー賞で思い出したが、株式投資の例え話である「美人コンテストのパラドックス」をご存じだろうか。候補者の中から一人だけ、自分が美人だと思う子を選んで投票する。ただし、一番になった子に投票した審査員だけが、あとで賞金をもらえる。これはケインズが編み出したもので、この審査員に対する賞金の仕組みによって、自分が美人と思うかどうかではなく、「皆が選びそうかどうか」を考えるようになる。現実にも、人気があることによって人気というのは高まり、一番の不美人が選ばれることすらあるのが株式市場である。株価が上昇すれば、それでも同じように儲かるし、誰も買ってない美人に投資したら金を失う。映画の感想のようなしょうもないことでも、人様に向けて語るとなると、どこかポジショントーク的になったり、世の中の評価に左右されたりする。アカデミー賞と言われたら点数が上がる、ただのエンタメ映画は下がる、そういう隠れたメカニズムがあるに違いない。半分も観てないけど。
CureTochan

CureTochan