kuu

ナイトクローラーのkuuのレビュー・感想・評価

ナイトクローラー(2014年製作の映画)
4.0
『ナイトクローラー』
原題Nightcrawler.
映倫区分G.
製作年2014年。上映時間118分。

ジェイク・ギレンホールが主演し、刺激的な映像を求めて夜のロサンゼルスを駆けめぐる報道パパラッチの姿を通し、視聴率至上主義のテレビ業界の裏側を浮き彫りにしたアメリカ産サスペンススリラー。
今作品では、ジェイク・ギレンホールは映画全体を戯曲のように暗記したそうです。
また、最後のクライマックスカーチェイスを含め、彼自身の運転シーンのほとんど彼が行ったそうで、役者魂に脱帽っす。
共演にレネ・ルッソ。
『ボーン・レガシー』とかの脚本家として知られるダン・ギルロイがメガホンをとり、長編監督デビューを果たした。
これは!!デーブ・スペクターの事を描いてんのかっではないでしょうが。
あらすじは、
まともな仕事にありつけず軽犯罪で日銭を稼ぐ野郎ルイスは、偶然通りかかった事故現場で報道スクープ専門の映像パパラッチの存在を知り、自分もやってみようと思い立つ。
早速ビデオカメラを手に入れたルイスは、警察無線を傍受して事件や事故の現場に猛スピードで駆けつけ、悲惨な映像を次々と撮影していく。
過激な映像で高額な報酬を得るようになったルイスは、さらなるスクープ映像を求めて行動をエスカレートさせていき、ついに一線を越えてしまう。。。

余談ながら、今作品の冒頭、ルイスが金属(金網など)を盗み、スクラップ工場へ横流しする場面があった。
それで思い出すのは、金属の相場が全体的に大幅に上昇した2008年夏の北京オリンピック前。
道路などに設置されているグレーチングや、資材置き場などに設置している敷鉄板、工事現場などで保管する資材等々が相次いで盗難にあった事件。
町の建物解体屋のオヤジまで、解体した窓枠(アルミ)や銅線(電気銅)を、仕事そっちのけで、せっせと集めては横流しにして小銭どころかかなりの額を不当に得てたのを思い出しつつ鑑賞しました。
余談の余談ながら、金属の高騰の背景は、2008年の北京の街が、夏のオリンピックを機に一新され、 空前の建設ラッシュで、至る所で近代的なビルの立ち並び、 街を一変するほどの変革を遂げたからと云われてる。
つまり、その建設資材として、金属が不足し、 価格が上昇した。
って、関係無い話を長々と🙇‍♂️。

今作品は、丹念な考察で意表を突くような作品であり、アメリカ映画を嫌悪せず、実際にその恩恵を受けている映画界で話題になるような主人公を起用した作品であると感じました。
ナイトクローラーの暗く薄汚れた世界へと小生を誘ってくれた。
今作品の主人公は、フリーランスで働き、カメラと複数のポリスの無線コードを傍受して、レイプ、銃撃、殺人、交通事故など、近隣で最近起きた犯罪を探しながら混雑した都市の通りをパトロールするキャラ。
彼の目的は、これらのシナリオを悩ます醜態をできるだけ早く、できるだけきれいに、率直に、親密に撮影し、それをニュースステーションや目撃者番組に売って、手っ取り早く利益を上げることにある。
不眠症の可能性があること、悲劇や恐怖に対する感情的なつながりや即時の共感がないこと、卓越したナビゲーション(運転技術)、ほんでもって、自由な時間がたくさんあることなどが仕事の要件。
ジェイク・ギレンホールが演じるルイス・ブルームは、ロサンゼルスに住むどん底の男で、先にも書きましたスクラップを売って金を得て、やがてナイトクローリングビジネスに転身する。ルイスのナイトクローラーとしてのルートをナビゲートし、ポリスのスキャナーの専門用語を読み解くために数々の警察コードを学ぶリック(リズ・アーメド)とチームを組む。
ルイスが撮影し、分析し、時には操作した映像を、視聴率回復を切望する報道局の支局長ニーナ(レネ・ルッソ)に販売し、利益を得るというアマチュア夜回り隊を2人は結成する。
最終的に、今作品は、その素材で2つのトリッキーやけど、没入感のある機能を両立させ、同時に、本質的に彼が会う人々の最も脆弱な時間を覗き見るような人物としての薄汚い、しばしば汚い仕事を覗かせ、現代のニュースに対する恐ろしいコメントを投げかけてくる。
助けや励ましを求めるのではなく、そこで写真を撮って先に進み、できるだけ大きな利益を得ようとする。
現代のフィルム・ノワールとして分類されるロサンゼルスを、暗く、時に影のある写真と薄暗い環境の中で見せられる。
それは、通常バラエティーやと、非常に美しく、気候の面でも理想的であると捉えられる都市に、醜さを露呈している。
監督のダン・ギルロイと撮影監督のロバート・エルスウィットは、ロサンゼルスに対する我々の考えを覆すために全力を尽くし、一過性の場所に焦点を当て、人間の最も醜い出来事を、澄んだ映像のおかげで美しく魅惑的に見せていました。
また、今作品は、ジャーナリズムの倫理を現代的に探求し、ローカルケーブルニュースが24時間放送の多くのニュースステーションと競合し、そのニュースステーションもまた、より更新の速いソーシャルメディアウェブサイトと戦っているため、テレビでは常にニュースが操作されている。
日本でも同様。
ニュース番組は、シチュエーションコメディやリアリティショー、スポーツイベントと同様、数字のゲームであり、その数字が視聴率であることを、今作品は憂うべきことに明らかにしている。
このメッセージにとって重要なシーンは、ルイスが自分のキャリアを決定づけるテープを撮影して販売し、それを個人的な利益のために操作することに取り組んだときに登場する。
彼はニーナが放送でテープを再生するのを見ながら、ニュースキャスターに言葉遣いや態度の面で具体的に指示し、恐怖を煽ることが目の前で起こっているのを見る。
また、社会派の作品でありながら、驚くほどリアルな犯罪現場や交通事故も見ることができました。
おそらく、多くの映画監督がこうした状況に親密さを欠き、交通事故を見せ、登場人物は足を引きずりながら、ほとんど流血することなく、とぼとぼ歩いているけど、今作品はこうした場面を驚くべき注意力とリアリズムで詳細に描写していました。
ギルロイは釘付け視聴者を覗き魔にし、我々がチラっと見てはいるものの、完全に予測したり、本当に見たいと思っているわけではないこれらの交通事故への目を提供していました。
これらのディテールへのこだわりは、まさに絶妙やったし、並外れた信憑性を持ってた。
くわえて、今作品では、『プリズナーズ』での共演者ポール・ダノと同様に、ギレンホールの素晴らしい演技が際立っています。
自分の仕事と作品に執着することで完全に満たされたキャラを表現してたしほんと巧い。
リズ・アーメッドも巧みで、ギレンホール演じるルイスのアシスタントとして、過労と過小評価で、空回りしがちな脇役になりかねない役を演じてた。
今作品の全体は、解説、パフォーマンス、環境美に富んでたし、個人的には完成度の高い映画のひとつと深く感じました。
kuu

kuu