雨丘もびり

トイ・ストーリー4の雨丘もびりのレビュー・感想・評価

トイ・ストーリー4(2019年製作の映画)
1.0
本作の着地点、ウッディが心から望んだ居場所に思えない。
制作者が仕組んだ自由の道(?)を歩かされてるだけのようなウッディに納得できなかった。

地元に居づらくなって別天地でヒモやってる男が、しかたなくデモシカでバイト始めたぜ、みたいな結末。
それを無限の自由と呼びますか。実存問題どこいったオイ。
      
【オレはアンタの相棒じゃないぜー】
リーダー気取りのお調子者、困ってる仲間を放っておけないおせっかい焼き。
弁が立ち、楽天家の行動派で、周りを巻き込むのはお手の物。
目立ちたがりの淋しがりや、ないがしろにされると狂暴化する嫉妬深さも持ってる。
それがウッディ。憎めないリーダー。
   
そんなウッディが本作で下す決断、ちっともウッディらしくない。
   
ウッディはもう、おもちゃとしてもリーダーとしても力を発揮できてない存在。
だから私は、ウッディにずっとおもちゃで居ろとは言わない。
変化はアリだし、別の道に前向きに進むなら応援する。
(シュガーラッシュオンラインは断然ヴァネロペ支持派ですけん!)
   
でも、今回の選択は、ウッディの性格や成長を踏まえていない。
何より、恐喝されて音声装置を抜き取られる描写がグロすぎる。

   
「君は友達」って、内蔵プレイヤーに録音されてたセリフだから従ってただけだったの?
オモチャでいる喜びは、ウッディの"内なる声"じゃなかったの?
1-3まで、何だったのさ。
   
今回の変化は、ウッディの内なる声に従った結果というより、脚本家がウッディの性格を書き換えて、あの決断を下すよう仕向けたみたい。
作り手の都合でキャラクタの中身を抜き取るのは、横暴な洗脳ではないのか?。
あのキャラクタを愛したファンの心情を、踏みにじってるかのよう。
    
答えを出さない宙ぶらりんな結末に到着し、あてどもなく歩き出すウッディが、得体のしれないヘンな生命体に見えて、モヤモヤした。
なんかもう、そのへんヘコヘコ歩いてるところを人に見られても、平気なんじゃない?
次回作はボーと生殖して増殖してますね。バズとジェシーも。なんか町山さんぽい発想(^^;)。
    
.....その他。
冒頭のRC救出からボーとの別れは素晴らしい。持ち主の都合に翻弄されるままならなさ。おもちゃ故の理不尽さに胸が苦しくなる。
そしてまさかのホラーテイスト追加w。ちゃんと怖くてびっくりした。
   
ゴミのままでいたかったフォーキーが、おもちゃに憧れるようになった経緯が、"ただ話を聞いただけ"。しかも、おもちゃとして活躍しないまま終わる。あれじゃあさ、ウッディに洗脳させられたって思われても仕方ない。
彼が心からおもちゃの生き甲斐に目覚めたなら、「足の字が消えちゃうからオンブしてよウッディ」くらい言えば良いのにさ。
言動もずっとウザいままだし、好きになれなかった。
あのバイクのカナダ男もぞっとするくらい魅力無い。
   
3で名参謀ぶりを見せたバズがただのバカになっててナゾ。音声機能がご都合主義的に増えててゲンナリ。
内蔵音声は内なる声か否かをめぐって、ウッディとバズが対立しジンテーゼを創出する展開にすればよかったのに。
   
アンティークドールのギャビーギャビーが、不安を乗り越えて一歩踏み出すのは好き。
ただダメ押しで、貰い手の少女or両親に、「あぁいうオモチャ抵抗ないでーす」演出はあっても良い。シャツのバックプリントがダークファンタジー風とか。
   
ストーリー運びに無駄が多い。
アンティークショップに何度も行く、あちらを助ければこちらが助からずを繰り返す、時間ない時に堂々と感傷にひたる、などナドなどナド。
最後のウッディだけを助けに行くシークェンスも、結局無駄だったし。
スターウォーズの8みたいなかったるさ。
   
矢継ぎ早で内容の無い台詞まわしも、意図がわからずイライラした。
   
ボニーは小学生になっても孤独紛らわしの人形作っててダイジョブか?
むしろそれ、おもちゃが彼女の成長を阻んでない?