千年女優

ズートピアの千年女優のレビュー・感想・評価

ズートピア(2016年製作の映画)
5.0
哺乳類が知性を持ち文明を築く世界で、肉食動物と草食動物が共存しながらも人々の心に異種間の偏見や差別の残る都市「ズートピア」。種別の限界にあらがって警察官となった雌ウサギのジュディと偏見に屈し詐欺師となった雄キツネのニックが手を取り合い、街で起こる連続行方不明事件の解決に挑む様子を描くディズニーアニメ映画です。

数々の名作を生み出してきたディズニー映画の中でもテーマの選択とそのアニメとの親和性を含めた完成度は指折りで、躍動感とファンタジア溢れる3Dアニメーションが楽しいだけでなく、ストーリを推進する犯罪サスペンス要素もまた秀逸で、さらには人間世界が解決できずにいる命題にエンタメの立場から一石を投じる社会派でもあります。

血を血で洗う戦いの歴史を経て、ようやく世界は「共存」の形を歪ながらも作り上げてきました。しかし今なお多くの偏見や差別が残る現代。次なる「共生」の世界への歩みを、個体差ある動物達が縦横無尽に動き回る映像の華やかさで後押しする、そんな文字通りの「生命力を吹き込む」アニメーションの力をまざまざと見せつける傑作です。
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