人の第一印象なんて当てにならない。人の表面だけ見て、人物像を決めつけるのはもったいない。
登場人物は主に二人。偏屈で人嫌い、それに酒、ギャンブル、女浸りと完璧なダメジジイのヴィンセント(ビル・マーレイ)。その隣に引っ越してきたチビで気弱な少年。
ジジイと少年の交流が心温まるものでした。交流自体はケンカのしかた、ギャンブル、夜遊びと子供向けじゃないのに、心が温まってしまうのは本当に不思議な感覚です。ラストはグッときて泣いちゃいました。
ヴィンセントがダメ人間だからこそ、すごく好きになってしまう。少年はダメな部分から学び、成長していく。そして、そのダメさが眩く輝いて見える。
なぜ、ダメなのか。外見だけで決めつけて内面を知ろうとしない。人は完璧なんてありえない。ダメにはダメになったワケがある。第一印象はただの張りぼてでしかなかった。
ビル・マーレイが演じたヴィンセントは本当にクソダメジジイだった。けれど、映画が進むにつれ知る彼の人物像は全く違ってくる。
彼は人一倍人生にもがき苦しみ、それでも前向きに笑顔を絶やさない愛すべきダメジジイでした。エンドロールまでダメさが滲み出ていて良かった。