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SABU さぶのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

SABU さぶ(2002年製作の映画)
4.8
江戸の下町。表具職人の栄二(藤原竜也)とさぶ(妻夫木聡)は幼い頃からの親友同士で、兄弟以上の信頼関係で支え合ってきた。得意先の両替商で仕事をしていたふたりだったが、栄二はある日突然仕事からはずされ、姿を消した。高価な金襴のきれを盗んだとあらぬ罪をかけられたうえ、石川島の人足寄場に送られていた。やっとの思いで栄二の居場所をつかんださぶは、勤め先での自分の処遇も恐れず栄二を訪ねに行く。だが栄二はすっかり心を閉ざし、自分を陥れた真犯人への復讐しか心になかった。さぶに心を閉ざし、復讐のことしか頭になかった栄二だが、寄場で優しい言葉を掛けてくれる人足(有薗芳記)や人情味のある与力(沢田研二)たちとの交流の中で、少しずつ成長していく。
山本周五郎の同名小説を映画化。
理不尽なことに対して辛抱が利かず我慢ならない栄二とお人好しが過ぎるくらい優しいさぶの変わらない強い絆、栄二をめぐるおすえとおのぶの三角関係、寄場で出会う自分に優しい言葉を掛けてくれる人足や人情味のある与力の支えと絆のおかげで大きい心に成長していく栄二の苦闘、冷酷な女衒が寄場の油小屋の火事で女の人足を救出するため命懸けな行動に出たり、さぶが親友の栄二の想い人のために辛いことを背負う複雑な人間模様、クライマックスで明らかになる栄二に罪を着せた犯人の真相そしてそこに 秘められたさぶとある人の思い、「人はどんなに辛いことがあって世を呪い人を呪っても人との絆によって救われる。そんな人と人の絆の大切さ」に心が温かくなる青春時代劇映画。罪を着せられ、復讐しか考えられない男から人との絆を再確認し成長していく栄二の心の機微まで演じ切った藤原竜也、お人好し過ぎるくらい友情に厚いさぶがはまっている妻夫木聡、有薗芳記や遠藤憲一や沢田研二などの存在感と演技、栄二に想いを寄せるおのぶとおすえの夜雨の中で言葉を交わすシーンでの切ない女心や嫉妬やしたたかさが、印象的。
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