"追悼 小林清志"
初代次元大介声優として約50年同役を務めてきた小林清志さんが、先月末に亡くなっていたことがわかった。
半世紀にも渡り、ハードボイルドとユーモアを兼ね備えた男を演じきった小林さん。昨年10月のTVシリーズ第6期0話を以て有終の美を飾っただけに、突然の訃報に驚きを隠せない。
もうあのダンディボイスを聴けないと思うと寂しい限り。
ご冥福をお祈りいたします。
さて、そんな追悼の意を込めてこの度本TVSPを鑑賞。
次元といえば、『次元大介の墓標』や『グッバイ・パートナー』を観るべきであったが、前者は鑑賞済、後者は配信されていなかったため、TVSPの中でも出番の多いという本作をセレクト。
2003年に放送された本作は、ルパン三世こそクリカンに代わっているものの、その他ルパン一味や銭形警部は交代前のメンバーとなっている。昔懐かしいボイスキャストの面々に一種の安心感さえ覚える(ただ銭形は所々何を言ってるのかわからなかったりする等、どんな声優でも年齢には勝てないのが悲しい……)。
本作は大泥棒であるルパンが泥棒仲間であるマークの遺言にならい盗んできたお宝を返却するという珍しい作品。泥棒スキルを活かし、盗品を華麗に返却していくスタイルは盗みの描写と同じ爽快感がある。勿論、銭形との追いかけっこ、不二子の甘い誘惑、次元のガンテクニック、美女に助けられがちな五右衛門というシリーズのお約束も踏襲しており、クライマックスでの見せ場も余すことなく描いている。TVSPではルパン以外は添え物になりがちであるが、本作は全員にクールな見せ場が用意されており、あらためてルパン一味の強さと絆を再認識させられる構成となっている。
勿論、地上波作品だったため、不二子のお色気も控えめであったり、銭形から逃げる方法としてプラスチック爆弾が3度も利用される等の展開の新鮮さが無かったりと欠点もある。
マークの守り続けたサクラダファミリアに関するお宝も何となく察することができるのも問題だろう。
とはいえ、TVSPの中では良作の部類に入り、比較的ここでの評価も高めなのも納得の出来。
そして、次元の愛銃を愛でる描写やミサイルもへっちゃらなガンテクニックに惚れる。そんなハードボイルドさとは真逆な女装時のまんざらでもない表情や台詞も、小林清志さんならでは。
改めて次元大介という男に命を吹き込んだことに感謝。
50年間お疲れ様でした。
