さわら

実録白川和子 裸の履歴書のさわらのレビュー・感想・評価

実録白川和子 裸の履歴書(1973年製作の映画)
3.5
白川和子を僕は知らない。本作は彼女の引退作であり、彼女を知るか知らぬかで評価も分かれるんだろうなと思った。最後の白川和子の口上シーンなんて、白川ファンなら堪らないし、知らなくても曽根監督の粋なはからいが感じられて良かった。その後の日活ロマンの行く末を知っている今観ると、身につまされるものがあった。
冒頭の粉まみれのレイプシーン、突然すぎる時間のジャンプ等で多少テンションが上がった。その後は白川和子がポルノ女優としてのスターダムを駆け登ったり、突然女優を辞めたり、男に監禁(?)されたりするばかりで、よくある不幸女子もののシーンを寄せ集めただけのように感じ、少し退屈してしまった。
興味深かったのはセックスシーン。まんま見せずに、家具に目を移したりこぼれた野菜に注目させるカメラワークである。セックスを生活の一部のとして描いている。また、セックス描写に主眼が置かれた映画でないことがそこから感じられる。あくまでも白川和子の、白川和子のための映画であった。
曽根監督『大人のおもちゃ〜』、相米監督『ラブホテル』、そして本作。どれも抜けないポルノであり、日活ロマンの冠をかぶった芸術性の高い作品群であった。もっと観たいなぁ。
クリスマス間近の渋谷で、先達たちの偉業が観られて本当に幸せ。ポルノ上映前に、ジョン・レノンの「Happy Xmas」みたいなチャキチャキなXmasソングを流しちゃうシネマヴェーラさん、大好きです。フォーエバー!

@シネマヴェーラ