MasahideYoshida

セッションのMasahideYoshidaのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
3.7
2014年10月
監督:デミアン・チャゼル
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「偉大なドラマーになる」ことを夢見る青年と、狂気の音楽教師の、愛憎のお話。

芸事に対する狂気、という意味では、この読後感は「ブラックスワン」に近いです。うん、まさにあんな感じ。正解や勝ち負けが明白にならないと一般的にはされがちだからこそ、ブラックボックスになりがちなその修練のあり方やそこに渦巻く執着と狂気を、エンタテインメントとしてかなり高次元に昇華してます。展開もまったく読めない。ああ、そうするかというオチにも満足。

ただ一方で、音楽をまかりなりにも、それなりにやっていた人間からすると、音楽を愛し、上を目指して習熟する上で、あれはなんというか、一般的な考え方ではないということははっきりしておきたいなあ。確かにまあ、ジャズ研は怖い雰囲気あったしw、ある種の「マジで怖くて身動きが取れないくらいの緊張」は必要なのかもしれないけど、やはり、厳しさは自分の中から自ずと湧き上がるものでないと、外的要因によるそれは、やがてその人を蝕むのであると。これもブラックスワンの主題と一緒かな。それに、あんなに力んじゃ400のスウィングは、スウィングしないよねw

まあそこは、映画ってことで。割り切れば、いい映画でした。

2015年5月20日